沖縄・台湾友の会

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EVの中枢はリチュウム電池だが、埋蔵世界一はチリ   エベレスト近くに埋蔵を発見したと香港誌

2022-02-23 22:29:25 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和四年(2022)2月23日(水曜日)
     通巻7228号
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 EVの中枢はリチュウム電池だが、埋蔵世界一はチリ
  エベレスト近くに埋蔵を発見したと香港誌
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 ヒマラヤ山脈の最高峰エベレストに近い鉱脈でリチュウム埋蔵を確認したと華字紙が報道している。
 サウスチャイナ・モーニングポストによれば、中国はヒマラヤ山脈エベレスト近くでリチュウム埋蔵の鉱脈を確認したと伝えた。(2月22日)。

 EVがブームとなれば、電池材料が底をつく恐れがあり、またリチュウム価格は四倍となっている。今後十年でさらに価格は40倍に跳ね上がる可能性があるという。

 チリ、アルゼンチン、中国、ジンバブエ。。。。リチュウム埋蔵の地である。就中、アンデス山脈沿いに多くが埋蔵されており、火成岩や塩湖の水中にも含まれる。最大の産出国はチリで海水中に2,300億トンのリチウムが含まれるとされる。

 リチュウムの需要は「金属資源レポート」(2021年3月)に従うと、2022年総需要の五倍に2030年に予測されるという。そのうえで中国の動きに注目する。

 JETROの調査報告(21年5月)がいう。
「チリにとって中国は第 1 位の貿易相手国であり、近年はリチウム分野や電力事業など、チリにとって重要な産業に中国企業が参入を果たしている。また、中国の銅需要がチリの景気を左右するような構造になっており、経済関係の結びつきは非常に強いと言える(中略)。2018 年 12 月、中国のリチウムメーカーである天斉リチウム(Tianqi Lithium)が、カナダのニュートリエン(Nutrien)が所有するチリの化学品メーカー大手 SQM(Sociedad
Qu?mica y Minera de Chile)の発行済み株式の 23.77%の取得を完了した。買収額は 40 億
6,600 万ドルで、当時サンティアゴ証券取引所史上最高額の案件となった。
それ以前の取得分と合わせて現在でも 25.86%の株式を有し、天斉リチウムは SQM の第 2 位の株主となっている。
 SQM はリチウム生産大手としても知られている。当時チリ銅委員会(COCHILCO)が
発表した企業別リチウム生産世界ランキングでは、SQM が約 25%を占め 1 位になっていた。天斉リチウムは中国での電気自動車の生産拡大を背景に、リチウムの安定的な生産と供給を図るべく、SQM の株式取得に至った」(引用止め)。

 アメリカ地質調査所の推定で可採埋蔵量はチリの750万トン。つづいて可採掘はオーストラリア、アルゼンチン、中国、チェコ。ボリビアのウユニ塩原は最大埋蔵と推定されるものの種々の難題があって事業化には至らない。


 ▼アフガニスタンにもリチュウムの埋蔵があると米地質学調査隊報告

 アフガニスタンに米兵が存在していた時期に地質学調査隊が入り、分析結果によれば、ボリビアに匹敵するリチウム鉱床があるかもしれないと報告した。
 冒頭のエベレストの噺と、後節のアフガニスタンの噺は、山師が聞いたら喜びそうなトピック。調べてみようにも、率直に言って手立てがないうえ、アクセスが悪くて、商業化のチャンスは薄い。

 中国国内のリチュウム企業は日本との合弁がトップグループで松下、NEC、SONY、三洋電機、ユアサなどが電気製品用電池並びにEV仕様のリチュウム電池を現地生産している。韓国勢の進出も目立つ。

 日本のリチウム電池メーカーは、パナソニック、三菱電機、マクセル、関連企業はトヨタ、ホンダ、川崎重工など。これらの情報を如何に分析しているのか。


世界の厄介者、北朝鮮を育てた中国

2022-02-23 22:26:49 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6057号


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世界の厄介者、北朝鮮を育てた中国
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        櫻井よしこ



北朝鮮が前例のない頻度でミサイルを発射し続けている。狙いのひとつは 米国を交渉の席に引きずり込み、なんとしてでも国連の対北制裁措置を解 除させることだろう。

2017年9月、北朝鮮はそれまでにない大規模な核実験を行った。広島の核 爆弾の約10倍、160キロトンの水爆弾頭の実験だった。同年11月には大陸 間弾道ミサイル(ICBM)も発射した。国連が北朝鮮に厳しい経済制裁 を科したのは当然だ。朝鮮問題の専門家、西岡力氏が語る。

「安倍首相とトランプ大統領が主導した国連制裁が、いま非常に効いてい ます。北朝鮮の窮状は衝撃的です。今年1月に列車とバスが中朝間を往来 しましたが、中朝貿易が再開したとはいえず、北朝鮮の物不足を解消する には程遠い。その結果、北朝鮮では紙幣印刷に必要な紙も印刷資材もなく なっています。そこで北朝鮮当局は国産のペラペラ紙で『中央銀行トン 票』と呼ばれる臨時のお札発行に追い込まれました」

トン票については以下のような注意がなされている。

「紙質が良くないことをよく理解して丁寧に清潔に利用し、汚したり破損 させたりせず、愛国心を発揮して少しでも長い期間利用せよ」

食糧危機も深刻である。21年には、1月、2月、6月と3回も立て続けに朝鮮 労働党中央委員会総会を開き、食糧危機克服の緊急対策を論じた。にも拘 わらず、昨年は軍や党幹部への食糧配給も断続的に止まった。

断崖絶壁に立つ金正恩氏の連続ミサイル発射の意味はまず、この苦境を打 開するために米国と交渉したいということだろう。同時に一連のミサイル 発射という強硬手段は、米軍に対する恐怖心の現われでもあろう。

前述の17年9月3日の水爆実験から3週間後、トランプ大統領(当時)はグ アムから戦略爆撃機B‐1Bを北朝鮮に向かわせた。F‐15C戦闘機など十 数機に守られ、巨大な図体の爆撃機は正恩氏がそのとき滞在していた北朝 鮮の東海岸にある元山沖で模擬空襲演習を行った。米軍は正恩氏殺害も可 能だった。トランプ氏は元山沖での演習に「金がかかる」などと不満を述 べたが、マティス国防長官は「大統領に核兵器使用を勧めなければならな い状況に備えて」「苦悩した」と語っている。状況は非常に緊迫していた のだ。

米国の怒りが本物だと感じた正恩氏は、その後、核及びミサイルの実験を ピタリとやめた。

そしていま米国は西太平洋に空母5隻を展開中だ。それを正恩氏が気に病 んでいないはずはない。追い詰められた正恩氏が逆に強気に出る可能性を 指摘するのは元防衛大臣、小野寺五典氏だ。

「バイデン政権の対北政策には、トランプ前大統領のときとは違って宥和 的な姿勢はありません。正恩氏は自分の力を見せつけるためにグアムに届 く中距離ミサイルを撃ってみせたのだと思います。北京五輪の後には ICBMの発射実験もあるかもしれません。その場合、米国はウクライナ を狙うロシア、北朝鮮、中国を相手に三正面の戦いに直面することになり ます」

ウクライナが屈服するとき

昨年8月末、バイデン氏はアフガニスタンからの米軍撤退を実現した。中 東と中国の二正面作戦は出来ないために、中東から撤退して中国に集中す るためだった。しかしわずか5か月で情勢は大きく変わり、二正面を超え て三正面の戦いの危険性が高まっている。

ロシアのプーチン大統領のウクライナ戦略がどうなるかはわからない。08 年の北京五輪のときも、14年のソチ冬季五輪のときも、プーチン氏は他国 を侵略した。今度もウクライナ軍事侵略に踏み切る可能性はあるだろう。 そのとき米国は、いま論じているような対ロシア経済制裁だけで乗り切れ るか。NATO諸国からもっと強い行動を求められるのではないか。米国 が動かなければウクライナはロシアに組み敷かれる。米国が何もせずウク ライナが屈服するとき、中国は好機到来と考え、台湾にあらゆる面から圧 力を強めるだろう。日本存亡の危機でもある。

中国がどれ程性悪な国か、知っておきたい。09年の出版で、トーマス・ リード、ダニー・スティルマン両氏による『核の急行便』から引用する。

ちなみにリード氏は米国空軍の長官を務め、レーガン政権下で国家安全保 障会議のスタッフだった。氏は、戦わずしてソ連を崩壊に導いたレーガン 政権の対ソ政策立案に貢献した。スティルマン氏は原爆の研究で知られる ロスアラモス研究所に28年間勤めた核の専門家だ。

同書は結論の部分で中国、とりわけ?小平の役割を特記している。?に よって核兵器は第三世界に拡散されたというのだ。?はまず、パキスタン に核技術を与え、アルジェリアの砂漠地帯に秘密の原子炉を築きプルトニ ウム生産を試みた。サウジアラビアには核兵器のみ搭載可能なミサイルを 売った。北朝鮮の核開発を黙認し、石油欲しさにイランの核開発計画にも 目をつぶった。核だけでなく大量虐殺が可能な生物化学兵器の拡散に、? は最も熱心だった。

中国の犯行

06年、北朝鮮の核実験を受けて、国連では北朝鮮の港に出入りする船を臨 検すべしという声が起きた。それに中国は断固反対した。そのうえ、国際 規約で禁じられている物資や製品を核拡散諸国が北朝鮮で調達する際、中 国はそれら諸国の航空機が中国上空を飛行する便宜を図った。

米国がイラク戦争に突入する直前、中国はイラクにミサイルの部品を送っ た。またミサイル誘導装置に必要なソフトを「子供用のコンピュータソフ ト」と偽ってイラクに供与した。パキスタンの死の商人、カーン博士には 核兵器に関する情報をひとまとめにして教え、カーン氏はそれをリビアや イランなどに売った。その他多くの事例は割愛する。

リード氏らは、中国の犯行だという痕跡さえ残らなければ中国はニュー ヨークやワシントンへの核攻撃にも反対しない可能性があると結論づけて いる。

三正面の戦いで米国の苦戦は当然だ。日本がなすべきことは少しでも早く 日本の力を強くすることだ。日米間には菅・バイデン両首脳の共同宣言、
日米の「2+2」などでの合意がある。いずれも台湾の安全と日本の安全 は事実上重なるとして、日米で中国に抑止力を効かせるという確約だ。万 が一、抑止が無理なら「対処する」とも合意した。対処するとは、行動を 共にする、軍事的に扶(たす)け合うということだ。ミサイルが飛び交う戦 いが予想されるとき、ミサイル防衛での対処は無理で、打撃力の強化が必 要だ。核で恫喝する中露北朝鮮に対して、わが国の非核3原則を2原則へと 一日も早く見直すことだ。戦争抑止の最大の力が核戦力であることを認識 したい。