夢と現実のおとぼけバラエティー

実際に夢で見た内容を載せています。それと落語や漫才・コント・川柳・コラムなどで世相を風刺したりしています。

感謝の念

2019-09-06 18:49:46 | 夢と現実のおとぼけバラエティー
<朝起きる>
まず自分に感謝。
次に自分の周囲に感謝。
次に国土に感謝。
次に地球に感謝。
次に太陽系に感謝。
次に銀河系に感謝。
そして大宇宙に感謝。


怪談『残業こわい』

2019-09-06 13:57:02 | 夢と現実のおとぼけバラエティー
    

テン・テン・ツク・テン・テケ・テン・テン・テケ・シャン・テン・の・テケ・テン・トン・・・

       怪談『残業こわい』


え〜、おばんでやす。今夜は、ちょっと怖い怪談でっせぇ。
怖くない怪談って、あるかいな・・て?
へぇ、・・おまへんなあ。
そやけど、今夜の噺は特別怖いでっせえ・・。
途中で恐うなって、逃げ出さんといてや。
話してるワテも、お客はん放っといて逃げるかも知れへんで・・。
・・ひゅ〜どろどろどろどろどろ・・・・・・・・・


係長  「ほな、ワテは先に帰るでぇ・・」


ヒラ  「へぇ、お疲れさんで・・。ワテはもうちょい残業ですワ・・」

大阪南の繁華街の外れにある13階建ての無気味商事本社ビルは、
建築後90年ともいわれる、かなりのオンボロビルでございます。
昼間は大勢の社員達でごったがえすビルの中も、夜更けの11時ともなれば、
ガラ−ンとして静まり返ってしまいますがな。
ヒラ氏の机は8階業務部フロアーのほゞ真ん中へんですな。
9時頃、守衛はんが巡回に来た時、
「残業は、あんたはん一人やでぇ」と言いながら
不要な照明をみんな消して行ったさかい、
いまはヒラ氏の机の上あたりの天井照明だけがついてます・・。
フロアー全体は暗く、窓の外には、遠くの繁華街のネオンの明かりが
チラチラと見えてるだけでございます・・


ヒラ  「あんまり静かやと、かえって落ち着かへんなぁ・・。
     せやけど、まだ仕事残とるし・・ 」


そないなこと思いながら、椅子の背にもたれて、う〜んと背伸びをした時でんね・・・。
事務室の外の廊下をパタ・パタ・パタと、誰かがサンダルで歩いている音がします・・。

ヒラ  「おかしなぁ〜? 誰もおらんはずやのに・・」


そう思いながら、トイレに行きたいところやったので、廊下に出てみたんですが、
誰の姿も見えまへん・・。
エレベーターの前を通って、トイレに行きますと・・、
そこは照明も消されて真っ暗・・。
背筋がぞ〜っとするけど、用を足さなしゃあないし、
・・・こういう時って小便は長々と出るもんで・・・
あわててトイレから出て、廊下を歩きながら、おゃっ?と気がついたんですな・・。
・・廊下は絨毯(じゅうたん)敷きですがな。
以前はPタイル敷きやったんやが、バブルの頃、会社は金が余っとったもんやから、
絨毯敷きに換えとったんですワ・・。


ヒラ  「変やなぁ〜?
    絨毯敷きやのに、パタパタ音が響くなんて・・」


不思議に思いながら、ふっと思い出したんは・・、
先輩から聞いた話で、以前、このビルのこの階の窓から飛び下り自殺したOLがいた、
いうことや・・。


ヒラ  「やなことを思い出してしもた・・、早う仕事片付けよ・・」


・・と机に向て仕事を始めよとした時、・・薄暗い事務室の隅の方の一つの机の上から、
カタ・カタ・カタという音が聞こえてきますがな・・。


ヒラ  「あれはキーボードを打つ音やないか・・?」


不審に思って、音のする方をジ〜ッと目をこらして見るんやが、誰もおらへんようで・・
そやけど、その音だけが、だんだん・・ヒラ氏の机の方へ近付いて来るようですがな・・。


ヒラ  「ヤバッ、か・帰ろ ! 仕事はあしたや・・」


そゝくさと身の回りを片付けて廊下に飛び出し、エレベーターの前まで来て、
あわててボタンを押します・・。
・・そやけど、こういう時に限ってエレベーターは
よう昇がって来まへん・・。


ヒラ  「なんや〜?早う昇がって来んかいな・・」


エレベーターはなんと、各階ごとに停まりながら昇がってきますねん。
そうしてる間にも、キーボードの音は近付いて来よります・・


ヒラ  「あぁ、じれったいでぇ・・ほんまにぃ。
    なんで各階に停まるんや?あせるでぇ・・」

やっとのことで、エレベーターは8 階まで来て停まり、
扉が開いたと思たら・・、中にOLらしき若い女性がひとり、うつむいて立ってますねん・・
ヒラ氏は、ギョッとしながらも・・・

ヒラ  「こない遅く仕事でっか?」


・・と声をかけましたねん。
・・OLがうつむいていた顔を、ス---ッと上げたとたん・・・




ヒラ  「ぎゃひーっ !! 」



・・ヒラ氏はその場に固まってしもたねん・・。
なんとOLの青白い顔は・・・、口はおでこのあたりにあり、
目はあごのあたりに離ればなれ、鼻はほっぺたの横のあたり・・と、
てんでんばらばらについてまんね・・。
丁度、正月の福笑いみたいでんな・・。そして、それらが妙に生々しく、
ひくひくと痙攣(けいれん)してまんね。
正月の福笑いやったら笑えるけど、この場合は、そうはいきまへん・・。



ヒラ  「ひぇーっ !! 」



ヒラ氏は、一目散にその場から逃げようとするんやが、
足がもつれて宙を泳いでるような感じですがな・・。
それでも階段の方へ駆けて行き、ダダダダダ・・・・と必死で階段を駆け降りるんやが、
8階から1階までは相当ありまんねん。
ヒラ氏が必死で駆け降りているあいだも、
コツ・コツ・コツ・・とハイヒールの足音が背後からゆっくりと聞こえて来ますがな・・。
ところが、いくら駆け降りても階段室から外へ出る扉が見つかりまへん・・。




ヒラ  「おかしなぁ ?? 扉は各階にあるはずやのに・・、
    えらいことになりにけりやでぇ・・!!」



ヒラ氏は錯乱状態になって、なおも「終わりの無い階段降りゲーム」を
やっているようなもんですな。
ところで不思議なことに、ヒラ氏がいくら猛スピードで駆け降りても、
コツ、コツ、コツ、・・・というゆっくりしたハイヒールの音は、
相変わらずヒラ氏の2〜3メートル後ろあたりから聞こえてきますねん・・。
ヒラ氏は駆け降りながら、ヒョイと後ろを振り返って、
ゾ−ッとしましたですな ! 
なんと、手の届くところにそのOLがついて来ているんですから・・。
ヒラ氏は「ヒ-ッ !!」と悲鳴をあげると、
その瞬間、バランスを崩して「ワァ-ッ !!」と叫びながら、
回転するように前のめリにつんのめると、
そのまま暗い穴の中をまっ逆さまにどこまでも落ちて行ったんですな。
ようやく、地面らしき所へストンと着地したので、たりを見回すんですが、
暗くて、ここがどこだか見当もつきまへん。
そのとき、「逃げられへんで・・」
いきなり背後から、くだんのOLの声がしたんですな。
「ひぇーっ」哀れなヒラ氏は、うずくまって両手で両耳をしっかりと塞いだんですが、・・・




OL  「そないなことしても、無駄やねん。ウチは霊の心で話し掛け、
    あんさんは、霊の心で聞こえてるさかい・・・」




ヒラ  「へ、へい、ごもっとも、ごもっとも!」



OL  「ウチの頼みを聞いて欲しいのや・・・」



ヒラ  「た、頼み・・て、なんやねん?」



OL  「ウチは、失恋して、先年このビルの8階から飛び下り自殺したOLやねン・・」



ヒラ  「ひぇーっ ! やっぱし・・
     ナムアミダブ、ナンミョウホーレンゲキョ・・」



OL  「ウチの自殺が引き金になって、年老いた父母は心労のため、
    相次いで鬼界に入ってしもたねン・・」



ヒラ  「そ、それは、お気の毒なことで・・」



OL  「このために、ウチの家系は絶え、ウチらは無縁仏に・・<ウッ、ウッ、ウッ・・・」



ヒラ  「そ、そない、泣かんと、・・」



OL  「そこで、・・あんさんへ頼みがあるねん・・」



ヒラ  「へ、へぃ・・」



OL  「ウチらの菩提寺の住職に会うて、ウチらの永代供養を頼んで欲しねん・・」



ヒラ  「わ、わかりましてんね・・、で、お寺は・・?」



OL  「ご案内します・・」



そう言い終わる間もなく、ヒラ氏の体は、またもや暗いトンネルの中に引き込まれ、
ストンと着地した所は、どうやら墓地のようですな。
・・と、ヒラ氏の目の前に"△△家の墓"と書かれた墓石が、
ひとつだけボーッと青白く光って立っています。



ヒラ  「ひゃあっ、こ、これや!」



ヒラ氏は、よろよろと立ち上がって、あたりを見回すと、
ここは山里の小さな村らしく、近くに古いお寺も見えます。
おぼろ月夜のかすかな明かりを頼りに、ようやっとお寺にたどりつき、
入り口の戸をコンコンと叩きます。
「こんな夜更けにどなたかな・・?」奥から住職らしき老僧が出て参りましたな。
ヒラ氏はやっと生きた人間に会えたので、ホッとして、
いままでのいきさつを一部始終話し終わります。



住職  「ほーっ、それは恐いおもいをされたのぉ・・。
     ご安心なされよ。 わしがねんごろに弔ってさしあげよう」<



ヒラ  「へぇ、おおきに、おおきに !!
    これで安心ゃ。 ほな、わてはこれで・・」



住職  「どちらまでお帰りかな」



ヒラ  「へぇ、大阪でんね」



住職  「なら、明朝の新幹線で帰られては・・」



ヒラ  「ええっ、新幹線 ?
     あのー、ここはどこでっしゃろ ? 」



住職  「岡山ですがな」



ヒラ  「ええっ、えええーっ!?」



住職  「でも、ご安心なされよ。
     あなたの連れの女性が、 今夜つれて帰ると申してますよって・・」


ヒラ  「つつつ、・・連れの女性って、
    まさか、あの・・ひぇーっ ! 」



とことん哀れなヒラ氏の身体は、またもや暗いトンネルの中をツツツーと吸い込まれて、
またストンと着地した所は、なんと、・・・会社のヒラ氏の机の前でした。



ヒラ  「うへーっ、堪忍してゃーっ、残業こわい・・」 




           おたいくつさまで