池井戸潤原作の「半澤直樹」的な勧善懲悪モノを期待していたら、
良い意味で裏切られました。
主人公はじめ誰もが脛に傷を持ち、詐欺師には詐欺で倍返しをする。
スカッとしたカタルシスを得ることはなく、「人生なんてこんなもの。それでも生きてゆく」的な悲哀とリアリティを感じました。
ドラマよりもこじんまりしてるけど2時間緊張して楽しめた。
阿部サダヲさんの人間味のあるキャラに救いがあって、その行為の是非は別として上司になってもらいたい人の一人になりました。
橋爪さんと柄本さんの狐の化かし合いのような演技もスリリングだったし、
木南晴夏さんの「いるいる~こんなヤツ」みたいな嫌味な同僚も良かったけど、
佐々木蔵之介さんの陰のある表情が…良かったなぁ。
あと冒頭のシェイクスピア劇のシャイロックは吉見一豊さんかな。
劇団四季提供の豪華な衣装も見応えありました。
ただ、素人から見ても「マジ?」と思うところはあった。
10億もの金額が動くならもっと大勢で多方面から審査しないの?
それ、落としたりゴミ箱に捨てたりするぅ?
実印と印鑑証明のチェックって今でも目視なの?(これは本当に疑問)
…とは思うけど、国家機関を巻き込む巨悪ばかりでなく街の小さな金融機関なら多少はあり得ることなのでしょうか。
銀行勤めでなくて良かったぁ、と変な安堵を感じる映画でもありました。