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 今井輝幸大阪地裁判事補の「韓国における国民参与裁判の現状」(刑事法ジャーナルNo.15(2009年)65頁~,ブログ上では今日以後「今井論文」といいます。)によると,昨年1年間の国民参与裁判がなされた数は,韓国全土で60件だそうです。そして,日本でも,裁判員の負担の軽重を考える点で関心の高い審理日数ですが,60件のうち,56件が審理1日,4件が2日で,その審理日数で判決までなされています。これはホントに驚きです。

 具体的には,午前9時半から選任手続が始まり,午後8時前後に判決というのが典型的な進み方のようです。時に,判決が深夜に及ぶことがあるようですが,これは,できる限り1日で審理を終えようとする法曹三者及び陪審員の努力と熱意によるものであろうと今井論文はコメントしています。ただ,この審理日数の点については,対象が重大事件なので1日に拘泥しすぎるのはどうかなど批判もあり,今年になってからは,審理2日の事件が増えていると仄聞するところです。

 当ネットで勉強会をした際には,上記現状に対する評価は別にして,とても興味深い運用であるという意見が出されました。そして,以下のような質問事項がだされました。

・審理期間が原則1日,例外的に2日と短いようですが,公判準備での争点の絞り込みに弁護人がかなり協力しているからではないでしょうか。国選専担弁護士(こういう制度ができています。)の水準が高いからでしょうか。

・審理期間が原則1日,例外的に2日と極めて短いと聞きますが,無理があるのではないでしょうか,長時間の審理で陪審員,判事も疲れ,冷静な判断ができないおそれはないでしょうか。
 
 6/6企画の講師である李教授にも上記質問事項をお送りしています。ご講演で何かお聞きできるかもしれませんね。 (瑞祥)

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コメント
 
 
 
排除決定が影響? (Unknown)
2009-05-20 04:53:18
刑事法ジャーナルNo15,No16(69頁・4/1刊)を読んだ印象としては,一つは複雑な事件が結構広めに排除されていること(排除決定という制度だそうですが)も背景にあるような気がします。もうひとつには,正しい理解かどうかはわかりませんが,証人尋問の事項を絞りこんで短時間で終えているような印象も受けました。
 
 
 
ご指摘の点 (瑞祥)
2009-05-21 07:08:54
 ご指摘の点はよく理解できます。今井論文では,2008年11月末時点で,被告人が一度でも国民参与裁判を希望した事件187件のうち,52件が廃除決定されたと紹介されていますね。複雑困難事件には,この中に入っているのもあるようですが,ただ,性犯罪について廃除決定が少なくないとも紹介されており,被害者保護の関係も強いのではないかと推測されます。李教授にこの点の実情も聞いてみたいものです。
 
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