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品質保証再考第15回

2010年03月16日 | Weblog
市場調査・企画

 品質保証プロセスは、この「市場調査・企画」に始まる。企業経営の体系をその分野別にみると、この「市場調査・企画」は、品質管理や品質保証というより、「マーケティング」分野に属するとみえる。また調査においては統計学の手助けも必要とする。もっとも品質管理も統計学そのものが、その理論の中枢にある。先に、品質保証の歴史を述べた際、それがマーケティングの変遷と重なることを指摘したけれど、まさにここでも品質保証、品質管理とマーケティングは相重なる。それは、良い製品をお客さまに届けるという共通の目的を持っているからであろう。

 『市場調査・企画はすべての品質保証活動の第1段階と位置づけられる。その後、開発設計→生産→販売・サービスのあらゆる活動の内容を具体的に方向づけるため、非常に重要である。出発点であり、ここでどのような商品を作り、販売するかがほぼ決定されるため、それ以降の活動の成否を大きく左右する。なお、ここでいう「商品」とは、ハードウェア、情報などのあらゆる形態のものも含む』。

 『市場調査・企画の役割は次の3つに集約される。①市場調査:情報を集め、顧客のニーズを着実に把握する。顧客が何を考え、何を望むのか。これを正確に、しかも深いレベルで知ることがすべての出発点である。②商品企画:独創的な発想で新たな商品の創造・提案を行う。顧客の期待したとおりの商品を提案するのではなく、一歩先の商品、他社が思いつかないレベルの独創的な商品を考案し、顧客にとって最適な商品イメージに集約して提案する。企画ではもちろん商品企画がその中心となるが、販売・アフターサービスなどの企画も総合的に立案すべきである。顧客は商品の価値を常に「商品+販売・アフターサービス」の複合体として総合的に捉えるからであり、すべてにおいて満足しないと反復購入してもらえない。特に耐久消費財やサービス商品においてこの傾向は著しい。③開発設計以降に関する計画の立案:企画を実現する計画を立てる。企画を実現するための設計開発・生産・販売・サービスの大まかな計画を策定する』。

 さらにガイドブックは市場調査や商品企画具体的な方法論まで解説している。「商品企画7つ道具」*6)の括りがあり、その名があることは、私もこのガイドブックで初めて知った。そして商品企画の目標には、「感動商品」すなわち顧客が感動して、価格を度外視して購入したくなるレベルの商品をあげているけれど、これなどもマーケティングにおける製品戦略に重なる。ただ、マーケティングでの価格戦略における、ブランド商品や高級化粧品などに見られる、いわゆる「名声価格」*7)などという市場との駆け引きや低価格競争に見られるような競合との凌ぎ合いは、品質保証の領分にはない。しかし、原価や納期管理の重要性は問われており、まさに感動商品を採算性の中で作り込んでいけるかの管理技術が問われている。より純粋に顧客と対峙するのが品質保証や品質管理の真骨頂であろう。


*6)①インタビュー調査、②アンケート調査、③ポジショニング分析、④アイデア発想法、⑤アイデア選択法、⑥コンジョイント分析、⑦品質表 の7つ
*7)商品のステータスを保つために、敢えて高価格に設定された価格

本稿は (社)日本品質管理学会編2009年日科技連刊“新版品質保証ガイドブック”を参考にその一部を引用(『 』内)しています
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