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時事散歩Ⅲ第18回

2014年03月26日 | Weblog
国家予算

 3月20日、参議院で平成26年度予算が可決成立した。3月中に成立したことは、その執行に滞りが生ぜず結構なことだけれど、その額は95兆8823億円で過去最大規模という。相も変わらぬ国債依存の予算である。新規国債発行額は25年度当初予算に比べ3.7%減とは言うが、その額は41兆2500億円。国家予算の実に43%を占めている。

 要は、この内閣においても国家財政危機に対する抜本的対策は先送りされているのだ。もっとも国の借金が1000兆円を超えても、それを上回る国民資産があるため大丈夫という話はよく聞くが、通貨は信用で成り立っており、その信用はいつ崩壊するか分からないものでもある。プライマリーバランスの大幅赤字も解消に向かっておらず、わが国の国債が投げ売りされ、その金利が上昇すれば、国家予算の国債費はさらに増大する。

 この予算の基本方針は、平成25年12月12日に閣議決定されており、その骨子は、「Ⅰ.デフレ脱却・日本経済再生に向けた取り組みの更なる推進」、「Ⅱ.強い日本、強い経済、豊かで安全・安心な生活の実現」、この中には東日本大震災からの復興の加速なども含まれている。「Ⅲ.予算の重点化・効率化の推進」となっている。デフレ脱却・日本経済再生に向けた取り組みにおいては、公共事業なども必要で予算は膨らませざるを得ない。災害復興にもお金は掛る。

 それにしても、このような予算編成を続けておれば、いずれ国家財政が破綻することは間違いない。原発の再稼働が進まなければ、貿易収支は赤字を続け、経常収支も危ない。基本方針は、受験競争を勝ち抜いた一般に優秀と称される官僚の体裁を整えた文章力で、もっともらしく整えられてはいるが、前例踏襲で改革への知恵が薄いのだ。案はあっても、実行する際の抵抗勢力に抗するだけの丹力がないのか。

 このままでゆくと、予定通り来年消費税を10%に上げたとしても、庶民の生活を圧迫するだけで、国家財政は好転する兆しも見せないのではないか。税収が少しでも増えるとなれば、早速使う算段をする輩ばかりの政治屋集団が国会には巣くっている。国会議員一人一人がもっと国家第一に考えないといけない。

 少子化対策といいながら、経済成長には婦人の潜在力を生かすことが重要だと、103万円限度の扶養者控除をなくして目一杯働けという単なる増税施策も考えているらしい。育児や家事は放棄しろというのか。ガソリンは消費税が増えるばかりか、元々の揮発油税に加えて環境税を掛ける。災害復興税は法人からは取らなくなるが、庶民からは取り続けるらしい。成長戦略や従業員への賃上げなどの必要から法人優先税制となるようだが、庶民には理解し難い。税金を増やす方策に知恵は回るが、使い方の重点化・効率化の方には知恵はないのが財務官僚や政治屋さんであるらしい。

 このたびのネット仲介のベビーシッターの起こした事件を受けて、監視機能強化と共に浮上するのが、保育士待遇向上のための税負担。本予算で初めて30兆円台となった社会保障費のほとんどは老人に使われ、子供のためには使われていないから、こちらにももっと使えという圧力が形成されつつある。国家予算は益々膨らむ。

 中国の軍事力台頭とその横暴で防衛費は増額せざるを得ない。福祉、福祉と言うけれど、医療介護など、税負担が膨らんでいるところは個人負担を増やすべき。検査漬け医療も考えないといけない。痛くも痒くもなくとも定期的に検査に来なさいでは、老人医療費は膨らむばかりだ。年金も薄く広く減額するしかない。勿論公務員改革も必要であろう。大企業が子会社を作って社員の出向先を確保するごとく、行政機関にもやたらと行政の関連機関が多い。思い切って整理統合を進めるべきである。

 「言うは易しで批判は簡単」と切り返されそうであるが、大幅赤字の県や市の財政を黒字化させた首長は多い。江戸時代は8代将軍吉宗の改革で15代まで続いた。戦国の世に天下布武の信長があって、多くの血は流したが、秀吉、家康の天下統一に繋がった。この国でもやる人は苦しみながらも誰もが考えないようなやり方を実行してきた。先例踏襲の無難なやり方ではこの国の将来は開けないのではないか。



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