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時事散歩Ⅶ 第5回

2018年04月13日 | ブログ
米中貿易戦争

 3月22日、トランプ大統領は500億ドルの中国製品に対して関税を課すことを決め、翌日には鉄鋼、アルミニウム製品などの関税が引き上げられた。さらに4月に入り、米国の知的財産を侵害する中国への制裁措置として、情報通信や航空宇宙などハイテク製品を主な対象に約1,300品目、総額約500億ドルを加えたという。

 勿論、中国もただちに反撃。報復措置として農産物に加え自動車、化学品、航空機などに米国と同様25%の関税を掛けるという。

 米国の措置は勿論、国内産業の保護にあるが、中国の経済発展が、そのまま軍事力強化に結び付いている現実を見据えたものであろう。中国は東アジアに留まらず、太平洋、インド洋からアフリカにまで勢力を伸ばし続けている。何といっても米国の4倍程度の人口を擁し、しかも一党独裁で人権や世界の法的秩序など無視しまくる国。オバマ政権の不作為で南シナ海では周辺国の権益は奪われ、第3国船舶の航行の自由も危うい状況となってしまった。

 米国と言えど軍事力だけで、中国を抑え込むことは恐らく不可能なところまで来ており、今後知的財産侵害等を理由に経済制裁を行い、経済・技術両面から今後の中国の発展を遅らせることぐらいしか手はない。それもどこまで効果があるか大きな期待は持てない。

 台湾でさえ、若者は就職先に処遇で自国より有利な中国を選ぶ者も増えているそうだし、アフリカ諸国などでは、やはり経済援助をしてくれる国が良い国で、靡いてゆく傾向は続くのではないか。先にはインドネシアでさえ、日本の新幹線を蹴って中国を選んだ。

 日本においても経済界の意向を汲む自由民主党内の一派、宗教団体が推す公明党も13億人以上の巨大市場は垂涎の的で、中国の嫌がる政策には異議を唱える。日本人が中韓の悪口を言えば、ヘイトはいけない、隣国を悪く言うような右寄りの人物は真の保守の対極にある。などともっともらしく中韓を擁護する勢力も健在である。ほとんどの野党は元々中韓擁護派。リベラル派には国家観はなく、国益など考えていない。

 このままゆけば、どこか大手商社の元会長で中国大使まで務めた方の希望通り、遠からずこの国は建国たかだか70年の独裁国家の経済圏に飲み込まれる恐れがある。それが紀元2800年のこの国にどれだけ不幸をもたらすものか。チベットやウイグルの人々の嘆きを知らぬでもなかろうに。

 わが国も遅ればせながら中国との交易を見直す時ではないか。高度経済成長の残渣もあり、欲望は果てしないが、成長戦略こそ資本主義の宿痾で、物価を上げて国民全体が幸せになれるのか。インフレは確かに事業者には有利だけれど、それが幸せと考えられた時代は過ぎたことを中国の台頭が教えているのではないか。成長は技術の進歩によってもたらされるもので、貧しい国から富みを吸い上げて発展する発想が間違っているし、元々ルールの違う国と正常な交易など出来るわけはなかったのだ。

 中国を抑えるための頼みはトランプ大統領だけだ。ただ、トランプ大統領が米中の貿易戦争を通じて、どこまで同盟国に配慮するかは見えていない。日米安保も永久的な保証はない。

されば、わが国も自立のチャンスである。核武装への呪縛を解き、この国を守れる体制を早急に整える時期だ。同盟は必要だが、大国に寄り添って生きる時代は終わっているのかも知れない。



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