中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

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現場力について考える第9回

2015年03月25日 | ブログ
5S

 5Sとは、本稿第5回でも触れた通り、「整理・整頓・清掃・清潔・躾」のローマ字の頭文字である5つの「S」のこと。初めの「3S」に集中して行う場合や、さらに6Sまで膨らせた活動を行うこともあるらしい。「6S」では作法が加わる。誰でも「知ってるよ」という活動ではあるが、しっかりと組織に根付かせるのはそれなりの努力が必要ではないか。

 5Sの非常に徹底したものづくりの工場を訪問したことがあるが、挨拶も徹底しており、従業員は見学者にも声を出して挨拶していた。見学コースのあるような食品関係の工場は、当然とはいえ非常に清潔感がある。ゴミの分別も徹底されており、「そこまでやるか」と思わせるほどである。ところどころの掲示板にはTPM(Total Productive Maintenance「全員参加の生産保全」)活動の成果報告が載せてあった。

 サラリーマン当時、デミング賞を受賞したという工場と関係したが、訪問時同道した先輩には過剰な管理に映ったらしいけれど、5Sの徹底工場でもそのことを思い出したものだ。長く馴染んだ企業風土における価値観が、他社を診る場合の尺度になる。何でも徹底することが果たして投資/効果において有益かどうかの判断は確かに難しい。しかし、僅かな不具合も生じさせない努力は活動の初期には特に大変でも、慣れてしまうと習慣化し、自然な行動となる。それが現場力につながり、すなわち組織能力となることも事実であろう。
 
 分かり易い習慣化の一例として、車のシートベルトを上げることができる。義務付けられた当初は面倒と感じたものだけれど、今では後部座席に座ってさえ自然にシートベルトを締める。
 
 5Sは安全活動の基礎的な活動のひとつでもある。整理・整頓・清掃もできない組織に安全は担保されない。ルール(躾)を守れないなど論外である。安全が担保されない職場に現場力はない。

 事務机の上が乱雑なままで、いかにも忙しさを強調しているような人が居る。単に周囲を嘗めて事務所の風景を乱しているに過ぎない。効率の悪い仕事のやり方をしているから忙しいのであって、無駄な残業が多くなり経費を上積みしている。

 職場で、個人の机上の整理整頓までに口を出す上司は、「細かい」などと反感を買う恐れがあって、放任するケースも多い。5Sなども、全社的、全工場的な活動として取り組むことが望ましい。上司も上からの方針だと部下を督励できる。

 組織というより個人芸で仕事をするという場合、それぞれの個性を重んじるということで、自身の身の回りの管理まで、組織として関与しないという職場もあるかもしれないが、5Sは安全と仕事の効率に直結する。個性とはルーズな性格までを言うのではなかろうと思う。



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