中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

経営のこと、政治のこと、社会のこと、趣味のこと、人生のこと

閑話つれづれパートⅡその5

2009年09月13日 | Weblog
柔道

 競技スポーツとしての柔道は、投げ技と固め技のうち、身体に重大な危険を及ぼす恐れのある技を除いたものであるけれど、武道としての柔道にはこれに当身技と活法が加わり、投げ技や固め技の危険とされる技も加わる。活法には柔道整復術も含まれると考えられるし、柔道には種々の型もあって、これらのすべてに精通することは容易ではない。

 一般には若いうちは競技スポーツとしての柔道を練習し修業し、昇段試験等を通じて高度な型を修得する過程で当身技を身に付けてゆく。ただ日々の練習で絞め技において、相手が「落ちる」という状態になる場合があるため、これを蘇生させる初歩的な活法は初期の段階で身に付けておく必要はある。高校の柔道部ではわざわざ絞め落として、活を入れて蘇生させることを趣味としていた先輩がおられた。実に器用に一瞬で絞め落としては、直ちに蘇生させていた。昔は荒っぽい練習で関節を外すようなことも間々あったことで、器用な柔道家は基本的な整復術も自然に身に付けていったと思われるが、現在ではそれは中々難しい。

街中では救急医療体制も整い、また無資格者の施術は避けられるため、特別に柔道整復の学校に通って資格を取る以外施術の練習はできない。競技柔道が強いことは、必ずしも整復術に精通することではない。柔道整復師の資格でも柔道の段位は要らない筈である。しかし、特に昔の柔道の高段者には柔道整復師の資格を持った先生が多かったことも確かだ。私なども子供たちに柔道を教えていた関係もあり、骨折かどうかの診断くらいできるようにと、整復師である柔道八段の先生から、整復師の学校で使うテキストを使って、解剖学から始めてそのイロハを教えていただいた。

 一方狭義の活法は、絞め技または当身技による失神状態を回復するためのものであるが、溺れた人を救命する一般的な人口呼吸法も含まれて、私が講義を受けたものでも7法ある。人工呼吸法に限ってもマウスツウマウスはじめ一人で行うもの3法、二人で行うもの2法の計5法あると聞く。人工呼吸法は夏休み前の学校など、一般的にも講座が開かれており、酸素欠乏危険作業主任者技能講習などでも実地講義がある。
 
 柔道はまさに医療技術の一部まで担ってきた日本の伝統文化である。世界選手権やオリンピックの勝ち負けに関わらず、日本に残したい伝統遺産であることは間違いない。試合では禁止されるような技も含め、投げ技、寝技から当身技、活法までも網羅した柔道大観本の新たな編纂出版が望まれるところである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする