忘れられた花園 上・下
ケイト・モートン著 創元推理文庫 / 2017.5
1913年オーストラリアの港にたったひとり取り残されていた少女。
名前もわからない少女をある夫婦がネルと名付けて育て上げる。
そして2005年、祖母ネルを看取った孫娘カサンドラは、
祖母が英国、コーンウォールにコテージを遺してくれたという思いも寄らぬ事実を知らされる。
なぜそのコテージはカサンドラに遺されたのか?
ネルとはいったい誰だったのか?
茨の迷路の先に封印された花園のあるコテージに隠された秘密とは?
うわー!面白かったです!
本当に面白くて、最後まで惹き込まれっぱなしで読了しました。
先に読んだ『秘密』が面白かったので、その前に刊行されていたコチラも当然、読みたくなりました。
1900年から2005年、100年以上にも渡るDNA(母親、娘、娘の孫)の物語は、まさに壮大でした。
不運が重なりつつも、懸命に生きてきた彼女たちの強さは、正しく生きてきたからこその強さだと思いました。
逆に、彼女たちに不運をもたらせた人物は、見事に滅びます。
自分と自分の娘のことしか考えず愚かな行動をとってきた者は滅ぶのだと、つまり、悪い行いをした者はバチが当たるという結末は、せめてもの救いだったように思いました。
1900年のロンドンの描写が素晴らしかったです。
切り裂きジャックの時代、霧や湿気、異臭が臭ってきそうな薄暗く汚いロンドン、その時にイライザ・メークピースが住んでいた場所が印象的で、その印象深さから1900年代のロンドンの風景が頭から離れませんでした。
同じく、1900年代のブラックハーストの雰囲気、特に庭園は美しく想像ができて、やはり、印象に残りました。
お話の感想としては、100年分の謎であり、100年分の謎解きであり、何をどう説明していいのか難しく、とにかく、本当にとにかく、面白かったです。