ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

あなたに褒められたくて / 高倉健 著

2014-11-19 | 本 その他


  あなたに褒められたくて

  高倉 健 著     集英社文庫 / 1993.8



  いつも危険な撮影を心配してくれた母、ロケで5カ月も過ごした酷寒の大地…。
  男が生きてきた、忘れることのできない時間と場所、忘れ得ぬ人びと。
  そんな心にかかる男の想いを語ったエッセイ。



  目次
  宛名のない絵葉書/西表の青年・由五郎君/内蒙古の赤ん坊/ロンドンからの電話/小田先生のこと/
  密航/善光寺詣り/胡椒のお風呂/催眠術の話/サラゴサの祭り/お心入れ/一の太刀/ジャガーの寝心地/
  八甲田の木/十二支のコンパス/ホースメンズ・ハット/北極のインド人/お姫様の膝かけ/殿様の血/
  兆治さんへの花/ウサギの御守り/都荘の表札/あたなに褒められたくて






私、本は好きですが、エッセイだけはほとんど読んだことがありません。
どんなに好きな作家さんでも、ほとんど、いや、まず読むことはありません。
小説も映画も、その作品を楽しみたい私としては、作り手の素には興味がない…というのがエッセイを読まないことに繋がっているように思います。
なので、今回はとても珍しいことだと自分でも思いました。
俳優・高倉健を嫌いな日本人はいないと思いますが、昨日から、テレビでたくさんのVTRを見ているうちに、初めて、小田剛一さんの素顔を見てみたいと思い、このエッセイを読んでみたいと思いました。

基本、普通の人だったんだな(当たり前なのでしょうが)と感じました。
感受性が人より強いようにも思いました。いろんな出来事をちょっと大きく捉える方かなとも思いました。
そして、俳優・高倉健を大切に演じ、創り上げたんだなと思いました。
それがやがて、小田剛一さんが高倉健になって、高倉健に小田剛一さんが存在するようになって、出会うべくして出会った二人なのかなとも思いました。

私が映画を観て思うことは、役者さんたちの素を感じたくないという思いがあります。
素を切り売りされても嬉しくも楽しくもないように思います。
最近の役者さんたちは、ミョーなセレブ感を感じさせると言うか、スペシャル感を意識させると言うか、個人をアピールし過ぎているようで、役柄と切り離して見られない時があります。
プライベートを追いかける方や、プライベートを知りたがる方が悪いのかもしれませんが、知らない方が役を楽しめると思うんですけど。
楽しませてあげるではなく、楽しんでもらいたいという自然な謙虚さのある役者さんっていいですね、応援したくなります。

高倉健はとにかくカッコ良かった。
こんな日本人がまだいたんだ…と思うくらいの理想的な日本人、そして、真面目であり謙虚であり、でも、悪戯をしたり、車が好きだったり、何でもカタチから入ってしまったり、人恋しさだったり、思い立ったが吉日だったり、だけど、自分のことよりまず相手を思いやり気遣うことのできる優しい小田剛一さん。
いずれも日本の誇りが一つ失われたということかもしれません。
過酷な撮影や役者であることの辛さを経験されたとは思いますが、でも、たくさんの作品を残すことができた役者人生は幸せだっただろうと思いました。
お疲れ様でしたという気持ちでいっぱいです。


最後に、本文より…。

 お母さん。
 僕はあなたに褒められたくて、ただ、それだけで、あなたがいやがってた背中に刺青(ホリモノ)を描(か)いて、
 返り血浴びて、さいはての『網走番外地』、『幸福の黄色いハンカチ』の夕張炭坑、雪の『八甲田山』。
 北極、南極、アラスカ、アフリカまで、三十数年かけ続けてこれました。
 別れって哀しいですね。
 いつも。
 どんな別れでも。

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