金と名声ほしさに芸術家の伝記を書こうと思い立った無名の美術評論家ゼバスティアンはスイスの山奥で隠遁生活を送る画家カミンスキーを訪ねる。彼はマティスの最後の弟子でピカソの友人、ポップアート隆盛の60 年代NY で “盲目の画家”として脚光を浴びた伝説的な人物だ。ゼバスティアンは新事実を暴く為、年老いたカミンスキーを言葉巧みに自宅から誘い出し若き日に愛した女性のもとへ連れて行こうとする。しかしトラブル続きの旅はいつしか奇妙な方角にねじれ、思いがけない終着点に向かっていくのだった……。
僕とカミンスキーの旅 2015年/ベルギー、ドイツ/ヴォルフガング・ベッカー
いつの間にか育まれていたカミンスキーとセバスティアンの友情がたまらなかったです。
どちらも自分勝手で嫌な人間なのに、なぜか、相手を思いやれていることに、人間って良くも悪くも深いなーと思いました。
海に行きたいというカミンスキーの願いを叶えるセバスティアン、
セバスティアンが勝手に持ってきた(盗んだ)自分の絵にサインをしてあげるカミンスキー、
このラストはとても爽やかだったと思います。
そして、浜辺に座ったままのカミンスキーがとても人間らしく見えていたのに、そのまま絵になっていく映像がなんとも言えない切なさを感じました。
で、結局、カミンスキーは盲目ではなかったということになるのかな?と思いました。
セバスティアンを演じたダニエル・ブリュール、今回は嫌な奴なんですけど、どんな役も見事にこなしていて改めて素晴らしい!と思いました。