ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

書楼弔堂 待宵 / 京極夏彦

2023-01-20 | 本 京極夏彦
舞台は明治30年代後半。鄙びた甘酒屋を営む弥蔵のところに馴染み客の利吉がやって来て、坂下の鰻屋に徳富蘇峰が居て本屋を探しているという。なんでも、甘酒屋のある坂を上った先に、古今東西のあらゆる本が揃うと評判の書舗があるらしい。その名は “書楼弔堂(しょろうとむらいどう)”。思想の変節を非難された徳富蘇峰、探偵小説を書く以前の岡本綺堂、学生時代の竹久夢二……。そこには、迷える者達が、己の一冊を求め“探書”に訪れる。「扠(さて)、本日はどのようなご本をご所望でしょう――」

書楼弔堂 待宵 / 京極夏彦 著 集英社(2023.1)




深かったですねー。
無意識に通り過ぎてしまった過去の恐ろしさに気付いてしまった…、その恐怖を抱えてただ生きている弥蔵。
そんな弥蔵をどう捉えればいいのか悩むところではありましたが、今となっては全てが歴史となり、現在に繋がっている以上、弥蔵もあの内戦も否定するのは間違いだと思いました。

戦争は正しくないけれど、人類はその国々での内戦を経て、歴史を紡ぎ、人生を送っているのだと思うと、必要だったのかもしれないと思わずにいられません。
ただ、他国を侵略するロシアや中国は、人類が経てきた歴史を無視し自分勝手で愚かとしか言いようがなく、人類として成長を果たした民主主義によって滅ぼすべきと本気で思います。

京極さんの思想がひしひしと感じられ、物語よりも、その思想に意識が持っていかれてしまいました。
でも、今までの京極さんとはレベルが違うような、凄いものを読ませてもらったなーと心に届く作品だと思いました。
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