高知ファンクラブ

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鈴木朝夫の講演・出版の記録・・・その8 新エネルギー資源の使い方 8)右肩下がりの下山の先は

2012-11-23 | 2012年5月~の記事

(日本電気計測器工業会主催 計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪 講演)

新エネルギー資源の使い方
      メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ

      鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)


もくじ)
はじめに) 資源大国日本  ----------1
1) メタンハイドレートとは        ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は       ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き        ----------4
   4) エネルギー資源の分類      ----------5
  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
  6) ビッグデータとスマート・グリッド  ----------7
  7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)      ----------8
  8) 右肩下がりの下山の先は         ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは  ----------10

 

 

8)右肩下がりの下山の先は


{「下山の思想」などの考え方}  石油ピークは既に過ぎており、使い勝手の良いエネルギー資源の観点からは、生産活動自体が下り坂になることは必然であり、経済指標は何れも前年度比マイナスの退却戦に入っている。これからは専門家と称する人への『お任せ』ではなく、各自が考え、意見を持つ『自立』の時が来たことを自覚しなければならない。下り行く先の未曾有の時代の姿を思い描き、どのように生きていくかを皆で考えるべきである。
1)「下山の思想」:五木寛之著(幻冬社新書、2011/12)、2)「『右肩下がりの時代』をどう生きるか」:鷲田精一著(「潮」、2012/1)、3)「石油文明が終わる~3・11後、日本はどう備える」:石井吉徳他著、("NPOもったいない学会"、2011/11)。

[固定観念、既成概念、既得権の放棄}  今の高齢者達の世代は、最高峰を目指した同志であった。戦後の日本の経済成長を、高品質・高効率・大量生産で担う戦士達であり、希望に満ちて大量消費を競ってきた。下山に際しては、固定観念を、既成概念、その価値観を捨て去る必要がある。経済成長率プラスの期待は止めなければならない。新陳代謝はゆっくりとゆったりと。「持続可能な発展」や「ゼロエミッション」のスローガンは無意味であることを悟ろう。

{最高峰に立ったとき} 我々山仲間は「山を征服した」との表現を使ったことは一度もない。頂上では「ありがとう」と山々に感謝し、「お陰さま」と仲間と握手をした。帰りも安全に降ろして下さいのお願いが込められている。日本人が皆で最高峰に立ったとき、我々は「お陰さま」と感謝しただろうか。今からでも遅くない。振り返り、感謝を捧げようではないか。

{リーダーの資質}  山を下るときの鉄則はグループをまとめ、落伍者を出さないことである。力量や経験の異なる混成部隊である。適度な休息を取り、食糧を分け合い、体を温め合うことが必要である。寒さが募る中では、眠らないことが必須である。サブリーダーの「しんがり」としての気配りは極めて重要である。そして、天候、地形などの環境変化を細心の注意と直感によって判断できる能力を持つリーダーの責任は更に重要である。財政再建には経済成長を期待する政治家が、実業家が多い。人材の枯渇では?

{右肩下がりの道を下り行くその先は?} 「となりのトトロ」で宮崎駿の描いたサツキとメイの家のような暮らしか。それとも、もう少し昔の宮沢賢治が理想郷とした里山の「イーハトーブ」だろうか。もっと昔に戻り、武士も町民も風流を愛でた江戸時代の心の豊かさの中なのだろうか。何れにしても、凄まじい速さで大量のエネルギーを消費することは、エントロピー増大を加速するだけである。地球温暖化はその一つの現れである。皆で幸せとは何かを考えよう。

 
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは

成長戦略を基本に置くことはナンセンスであることは既に述べた。地域も、企業も、国家も、人類社会も。過疎化・少子化・高齢化社会に対して、少子化時代の若者・子供達を元気に。情報化時代を皆が楽しめる仕組みに。ふれ合う機会の創出。好奇心を失わず、感性を豊かにする教育に。人の、地域の、人類の、地球の役に立つ工夫と努力が稔る社会に。このようなことを皆で考えよう。専門家に任せるのは止めよう。
日本近海に高い可能性を持つメタンハイドレートは次の登山を計画するためのものではない。含み資産の地熱エネルギーの使い道も同じである。有用な海底資源も同じである。儲けたと思い込んで一気に使うべきものではない。軟着陸のために与えられた資源として感謝しながら、ゆっくりと使うべきである。切り札は無闇に使うものではない。

       計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪


「計測と制御で創る未来の地球」計測展2012 OSAKA 
           日時:10月31日(水)~11月2日(金)
           場所:グランキューブ大阪(大阪国際会議場)10階
主催:((社)日本電気計測器工業会
〒530-005大阪市北区中之5-3-51、電話06-4803-5555

特別講演 (鈴木朝夫氏)
日時:10月31日(水)、13:30~15:00
場所:グランキューブ大阪(大阪国際会議場)10階、1009会議室
演題:
新エネルギー資源の使い方~メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ
The best use of Japanese new energy resources
講演要旨:
 日本は今、海底資源・地下資源によりエネルギー・資源大国になろうとしている。それらは、慎重に、ゆっくりと、賢く使うべきものである。経済成長のためではない。右肩下がりの時代を生きる減速に必要なエネルギー源と考えるべきである。心豊かな生活のために。
 Thanks to submarine and underground resources, Japan is becoming rich in energy and natural resources. Those resources should be used cautiously, slowly and wisely; not for another growth but for realizing economic maturity.

講師 鈴木朝夫(すずき ともお)
高知県メタンハイドレート開発研究会、理事長
Promotion of Methanhydrate Utility & Synergy in Kochi、Chief Director
     (略称:PROMETHEUS in KOCHI---
 Pro(motion)of Met(han)H(ydrat)E U(tility)& S(ynergy)in KOCHI )
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講師略歴:
氏名:     鈴木 朝夫(すずき ともお)
所属、役職: 東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、
     高知県メタンハイドレート開発研究会理事長 
略歴: 1932/10/10生まれ(千葉県)
       1955  東京工業大学 金属工学科卒業
東京工業大学 精密工学研究所 助手、助教授、教授、(工学部評議員)
1993 北海道大学工学部 材料工学科 教授(学科長)
1996  (社)日本金属学会 会長 
1997  高知工科大学 物質環境システム工学科 教授、(副学長・工学研究科長)       2001  高知県産業振興センター 理事(プロジェクト・マネージャー)
        高知県公安委員会 委員、委員長
2006~   高知県宇宙利用推進研究会(てんくろうの会)会長
              NPO牧野の森(くるくる五台山)代表
              高知ファンクラブ代表
高知県メタンハイドレート開発研究会理事長 等
2011   瑞宝中綬章(教育研究功労)の叙勲

 

 

718-0054 高知県香美市土佐山田町植718

鈴木朝夫 s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

0887-52-5154、携帯 090-3461-6571 

 

1) メタンハイドレートとは  2) メタンハイドレートの掘削は  3) 国家プロジェクトと高知の動き

4) エネルギー資源の分類  5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング)  6) ビッグデータとスマート・グリッド

7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故)  8) 右肩下がりの下山の先は 

 

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