イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

気概と挑戦

2009年01月19日 21時57分35秒 | Weblog
未曾有の大不況下にあって、翻訳業界もかなり経営状態が苦しいようだ。当然、翻訳者としての自分も相当に厳しい環境に身を置いているわけで、生きていくためには相当な覚悟で、営業・仕事に取り組まなくてはならない。出版翻訳と関わっている自分にとっては、今回の金融危機の以前から叫ばれて久しい、出版界の不況も他人事ではない。本が売れなくなったのは、もはや一過性の現象ではなく、様々な要因に基づく構造的なものだと言える。

たとえば、雑誌。10年前、インターネットが今ほど普及していなかった頃は、僕も相当数の雑誌を買っていた。気づけば、今や雑誌を買う機会はかなり減ってしまった。定期購読している雑誌は毎月数冊郵便で送られてくるが、それ以外は、書店に行ってもなかなか触手が伸びない。立ち読みをする限りでは、コンテンツ自体の質は以前と比べて決して落ちているとは思えない。むしろ、洗練され、かゆい所に手が届くような内容になっているとも思える。だが、有名雑誌の廃刊のニュースは、ひきもきらず聞こえてくる。恥ずかしながら、書店で雑誌を買う頻度が減ってしまった自分も、この出版不況に加担しているうちの一人かもしれないのだ。

図らずも、この出版不況の原因の一つでもあるインターネットでは、翻訳業界と出版業界が、この不況にどう対処すべきかという発言を見ることができる。厳しい環境にあって、それに負けじと意見を述べている気概のある人たちの言葉は、たくましく、力強く、リアリズムに満ちていて、はしくれ翻訳者としても励まされることしきりだ。

昨年10月にフリーランスになったのとほぼ時を同じくして、世間は不況一色になってしまった。不運とも言えるけど、それを嘆いていてもしかたがない。この現実を自分を鍛えるチャンスだと思って、石にかじりつく気持ちで頑張るしかない。どれだけ打たれてもあきらめず、翻訳を志した頃の初心を忘れずに、気概を持って、毎日を大切に過ごしていきたい。そしてできることならば、これからどれだけ世の中が変わったとしても、その気概を失わずに生きていきたい。挑戦を続けよう。