精神面の英才教育

錦織圭選手は島根県出身のプロテニス選手です。今年の11月に開催されたスイス・インドアでは、世界ランキング1位のノバク・ジュコビッチ選手を破って、一躍有名になりました。

錦織圭選手は、アメリカのテニス選手養成学校であるニック・ボロテリー・テニスアカデミーに所属して指導を受けていました。この学校で働く鬼コーチの話を聞いて、勝負師のあり方が非常に参考になります。

前途有望な、気迫の溢れる若手選手が、試合中つまらないミスをして、がっくり肩を落としていました。愚痴りながら、とぼとぼと歩き、敵に背を向けていました。その時です。鬼コーチは、烈火のごとく怒り始めました。

＜落ち込んで、足を見るな。足を見たいなら、足を上に思いっきり上げて、顔を上に上げろ。敵に落ち込んでいるところを見せるんじゃないぞ１＞

試合中落ち込んでいる姿を敵に見せて、自分の心理状態を赤裸々にするのは、勝負師としては絶対にしてはいけません。自分に有利な局面でも、自分に不利な局面でも、常にポーカーフェイスであるべきです。自分に関する不用意な情報を与えることなく、敵を動揺させて攪乱する必要があります。何よりも、試合中は努めて冷静であるべきです。

試合中にするべきことは、試合の最後の最後まで全身全霊を尽くしてプレーすることだけです。一喜一憂は禁物です。