シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

内田吐夢監督「宮本武蔵 二刀流開眼」(東映、1963年、104分)☆☆☆

2022-04-06 20:48:45 | 日本・1960年~


監督の宮本武蔵シリーズの第三作。原作は吉川英治。

本作品は、般若野で不逞の浪人たちを倒した武蔵が柳生家の石舟斎宗厳(薄田研二)と剣を交えることを決意するところから、吉岡清十郎(江原真二郎)と果たし合いの末、一刀のもとでかたづけるまで。佐々木小次郎(高倉健)が初めて登場します。

宗厳の城に向かった武蔵。この剣聖と剣を交え、兵法を経験知で会得したいという目的です。しかし、この目的は果たせません。柳生四高弟と剣談を交えるまでこぎつけたものの、対立。剣を交わすうち、どこからか聞こえるお通の笛とおぼしき音色。ハットして気を抜いた隙に、
武蔵の袖口が相手の真剣で切り裂かれます。武蔵は瞬間、小刀を抜き両刀の構え(二刀流)になっていました。

そのころ、吉岡の門弟・祇園藤次(南廣)は旅先で佐々木小次郎と出会います。更にふとしたことで清十郎が彼の太刀さばきをみて、吉岡道場の客として招待されます。

一方、清十郎はかねてからの宿敵、武蔵との対決を決意。京都の五条大橋で二人は宿命的な対決をします。吉岡の門弟約四十人がとりかこむ中、清十郎に打ち下ろされた武蔵の一撃は・・・。
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榊英雄監督「トマトのしずく」(2012年、91分)☆☆☆

2022-04-05 23:14:30 | 日本・2000年~


小西真奈美さんはわたしの好きな俳優です。石橋蓮司さんは味を出し、好演です。

舞台は東京目黒区中目黒、そして静岡県浜松市。

美容師のさくら(小西真奈美)は3歳年下の真(吉沢悠)と5年の交際を経て入籍。ふたりで始めたヘアサロンは軌道にのりました。仲間は「結婚パーティー」を計画。

さくらの悩み(怒り)は、父親・辰夫(石橋蓮司)が自分たちに無関心であることです。子どもの頃はいい父親でした。一緒に家庭菜園でトマトを育て、円満な家庭生活でした。それなのに、父は母が亡くなって塞ぎ込み、育てたトマトを抜いて、捨てたのです。さくら、中学生の時でした。以来、父と娘は断絶。

「結婚パーティー」に父親を呼ぶかどうかでもめます。

招待状を受け取った辰夫は亡き妻が残した家庭菜園の前で、長く会っていない娘の結婚を機に、直接会いに行こうと決心します。自分の想いを伝えようと。

辰夫は中目黒にあるさくらたちのヘアサロンを訪れます。娘のさくらに、面と向かってお祝いを言えない辰夫。素直になれないさくらは、辰夫を追い返してしまいます。真が父を追いかけると、辰夫は紙袋を渡してくれました。その中には辰夫が育てたトマトと「出席」に○をつけた招待状への返信葉書が入っていました。

「結婚パーティー」の当日、父の席は空席のまま。いったいどうして・・・・。
 
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内田吐夢監督「宮本武蔵」(東映、1962年、110分)☆☆☆

2022-04-04 23:11:45 | 日本・1960年~


内田監督による宮本武蔵シリーズ第一作。

原作は吉川英治です。

本作品は関ヶ原の戦いで豊臣側が敗れ、浪人となった宮本村の新免武蔵(たけぞう)が沢庵宗彭の導きで姫路城のなかで幽閉生活を送るまでが描かれています

慶長五年九月、関ヶ原の合戦で西軍豊臣方は惨敗。西軍の宇喜多についていた作州宮本生れの郷士の伜、新免武蔵(中村錦之助)と本位田又八(木村功)は傷ついて倒れていたところ、もぐさ家のお甲(小暮実千代)とその養女・朱実(丘さとみ)に救われました。

又八はここでお甲と昵懇になります。一方武蔵は故郷の宮本村に向います。しかし、村では豊臣方残党詮議が厳しく、武蔵もねらわれていました。采配をふるっていたのは姫路役人青木丹左衛門(花沢徳衛)。

七宝寺に居候していた沢庵坊主(三国連太郎)が武蔵召捕りのためにかりだされます。沢庵はお通と二人で武蔵を捕らえます。沢庵は境内の千年杉に武蔵を吊るしあげ、人間として改心することを武蔵に説きました。

武蔵を哀れに思ったお通は夜陰にまぎれ、彼を助けると、武蔵は囮になっていた姉の救出のために日倉の牢に向います。姉は沢庵に助けられていました。沢庵は武蔵を、姫路の白鷺城の蔵に連れていき、そこで暗黒蔵として住むのも、光明蔵として暮らすのも武蔵の心にあると説きます。武蔵は学問にうちこみますが・・・。
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内田吐夢監督「宮本武蔵 般若坂の決斗」(1962年、106分)☆☆☆

2022-04-03 23:09:21 | 日本・1960年~


内田監督は吉川英治による同名小説を5本の宮本武蔵シリーズとして映画にしています。その第二番目の作品がこれです。他の4本の作品も順次、鑑賞します。

本作品は武蔵が白鷺城を出てから、奈良の般若坂で素性の知れぬ牢人衆と果たし合いに臨むまで。浪人となった武蔵のひとり旅です。

白鷺城の暗黒蔵に三年こもった武蔵(たけぞう;中村錦之助)は名を「宮本武蔵」と改め、剣のみに頼る旅に出ました。お通(入江若葉)が同行を願い出ます。武蔵は彼女を置き去りにして立ち去ります。

三年後、京都での吉岡清十郎(江原真二郎)門下での道場破り。清水坂で武蔵に果し合をいどんだのは本位田家のお杉婆(浪花千栄子)とのトラブル。奈良奥蔵院での阿巌(山本麟一)との果たし合い。武蔵の剣術は冴えわたります。

その武蔵に「強さをためねばならぬ」と戒しめたのは日観(月形龍之介)。その頃、奈良には素性の知れぬ牢人衆が流れ込み、町を荒らしていました。武蔵に恨みを抱く牢人たちは宝蔵院の荒法師たちを煽動し、武蔵を襲います。武蔵は敢然と立ち向かい・・・。
 
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喜多一郎監督「シェアハウス」(2011年、104分)☆☆★

2022-04-03 10:41:28 | 日本・2000年~
舞台は湘南海岸、葉山のあたり。シェアハウスを購入し、一緒に暮らすことになった4人の女性の物語。

このシェアハウスに住むのは、夫と娘夫婦に先立たれた独り暮らしの女性・有希子(吉行和子)、恋愛が不得手な売れないケータイ小説家・麗子(浅田美代子)、JA勤めで孤独な独身女性・花恵(木野花)、そして元帽子デザイナーでただひとり若いまひる(佐伯めぐみ)。
有紀子、麗子、花恵はもともと湘南で暮らす友人同士で海辺のカフェ「プラージュスッド」の常連。花恵はかねてから共同で家を持ち、仲間同士一緒に暮そうと考えていました。有紀子、麗子は話し半分で聞いています。そんなおり、ひとりの若い女性・まひるが海岸に長いこと立ち尽くし、意を決したかのように入水、溺れかかります。

そこに居合わせたサーファー・優人(牧田哲也)はあわてて海に入り助けます、まひるは放心状態。近くに住む有希子はまひるを引き取り、面倒を見ることになります。やがて、元気を取り戻したまひるの後押しもあり、有希子は花恵のシェアハウスの提案を受け入れます。
東京で働いていたまひるは、デザイン会社の後輩と恋人に裏切られて傷ついていのでした。そんなまひるを、有希子は本当の娘であるかのように接します。

世代も性格も異なる4人の女性たちが個を尊重しながら、気張らない生き方を始めるのですが・・・。
 
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小林仁監督「五日市物語」(2011年、119分)☆☆☆

2022-04-02 10:43:54 | 日本・2000年~


現在の東京都あきる野市は、1995年に秋川市と五日市町とが合併してできた都市です。市制15年を記念した映画作品です。

五日市はかつて江戸・東京へのエネルギー、材木の供給基地でした。また自然豊かな景観があり、商人、知識人の集まる文化圏も形成していました。

幕末から明治初期、五日市憲法草案を起草した千葉卓三郎、看護師として国内外で活躍し、世界初のナイチンゲール記章を受けた萩原タケが有名です。

<あらすじ>
渋谷の情報収集会社に勤める主人公・伊藤友里(遠藤久美子)は、上司・黒田(井上純一)の命令でテレビ番組の情報収集のため、あきる野市にやってきまし。市役所の情報発信室の栗原(山埼佳之)の案内で取材を進めるうち、市の歴史、自然、そこに住む人のパワーに惹かれていく友里でしたが、番組制作が突然、中止になります。

しかし、市とそこに住む人に強い魅力を感じた友里は退職し、ルポライターとしてこの地の素晴らしさを伝えようと、泊り込みで取材活動を始めます。とくに油屋旅館の女将・岸トシ子(草村礼子)から昔の五日市町の様子を聞くことが日課になります。そこへ、やめた会社の上司・黒田が油屋旅館にやってきてみなで話をするうち、彼の父親が戦前にこの旅館に泊まりこんで絵を描いていたこと、トシ子とも交流があったことがわかり・・・。
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ジョン・フォード監督「モガンボ」(アメリカ、1953年、104分)☆☆☆☆

2022-04-01 22:46:56 | アメリカ・1950年~


「モガンボ」はスワヒリ語で「愛」という意味です。

アフリカの奥地を舞台に、猛獣の捕獲を生業とする探検家とNYからやってきたショーガール、そして動物学者夫妻が織りなす人間模様を描いた作品です。

野獣を捕え動物園やサーカスに売り捌く仕事に従事しているヴィクター・マースウェル(クラーク・ゲーブル)のもとに、NYからエロイズ・ケリイ(エバ・ガードナー)が訪れました。ショーガールの彼女は、知り合いのマハラジャの探検隊に参加する目的だったのですが、彼は国の騒動ですでに帰国。

翌週の便船で帰国せざるをえなかった彼女ですがその間、ヴィクと交流を深めます。翌週、エロイズと入れ違いに、英国の生物学者ドナルド・ノードリイが若く美しい妻リンダ(グレイス・ケリー)を連れて到着。

ノードリイはゴリラの生態の撮影を希望しますが、ヴィクはゴリラに接触するむつかしさを知っているので協力を断わります。そうこうするうち、便船が途中で故障したという理由で、エロイズがボートで戻ってきます。

このあたりから奔放な性格のエロイズとリンダとの間に、ヴィクをめぐる葛藤が生じ、小さな諍いがおこります。

ある日、子どものゴリラをもとめるサーカスからの手紙がヴィクに届き、彼はノードリイ夫妻の道案内をかってでます。一行にはエロイズが加わるのですが・・・。
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ウベルト・パゾリーニ監督「おみおくりの作法(Still Life)」(英・伊、2013年、91分)☆☆☆★

2022-04-01 10:45:44 | イギリス


舞台はロンドンの南部、ケニントン地区。

公務員で44歳のジョン・メイ(エディ・マーサン)が担当する仕事は、孤独死した人を見つけ出すこと、彼らの葬儀を執り行うことです。
几帳面な彼は孤独死した人の家族、身よりを捜し、連絡し、その人のために葬礼を行い、式での音楽の選曲をし、弔辞まで書きます。

ある日の朝、ビリー・ストークという名のアルコール中毒患者の遺体が、彼の真向いのアパートで発見されました。自分の住居の間近で、その人が知らぬままに孤独死したという事実に衝撃を受けます。さらに、あろうことか、その日の午後、彼は解雇を言い渡されます。仕事ぶりがトロイという理不尽な理由で、です。

最後の案件となってしまったビリーのために、ジョン・メイはこれまで以上に精力的に活動します。ビリーの部屋に遺されていた古いアルバムに笑顔の少女の写真を見つけた彼は、ビリーの人生のピースを嵌めていきます。

出会った人々と触れ合ううち、ジョン・メイに変化が出てきます。決まりきった日常から解放されたジョンは、いつもと違う食生活を試み、知り合ったビリーの娘ケリー(ジョアンヌ・フロガット)とカフェでお茶を飲みます。

まもなくビリーの葬儀が行われることになったある日、哀しい事件が・・・。
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