ドストエフスキー原作の同名の小説の映画化です。この小説を映画にした作品はいくつかあるようですが(わたしは本作品しかしりませんが)、この作品が原作に一番近いと言われています。
登場人物は、50歳を過ぎても肉欲に固執するフョードル・カラマーゾフ。予備大尉の身であるのに放縦な日々を過ごす長男ドミトリー(M・ウリヤノフ)。神を否定する大学出の次男イワン(K・ラヴロフ)。清純な信仰を持つ三男アリョーシャ(A・ミヤフコフ)。
カラマーゾフ家には、すさまじい葛藤がありました。ドミトリーは婚約者カテリーナがありながら、ある老商人の厄介になっているグルーシェンカ(L・プィリエワ)に惹かれています。しかし、父フョードルもグルーシェンカが借金に苦しんでいるのにつけこんで、彼女を自分のものにしようとしています。二人の対立は深刻そのもの。
カラマーゾフ家には召使いのスメルジャコフがいました。彼はかつてフョードルと乞食女との間に産まれた子供です。スメルジャコフは父を憎み、カラマーゾフ家の兄弟に嫉妬していました。
カラマーゾフ家のこうした人間たちが織りなす人生ドラマがこの作品の展開の機動力です。最後にグルーシェンカは、スメルジャコフの詭計で父親の殺人事件に巻き込まれ、冤罪にもかかわらず、シベリア送りになったドミトリーと生きていく決心をします。救いのシーンです。
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