舞台は戦争が終わって10年ほどたった鎌倉、そして江ノ島。
戦後、抑留地から戻った復員兵の家族をリアルに描いた作品。
冒頭、小学校の生徒たちが鎌倉の大仏のあたりで写生会をしています。担任の芦原靖子(久我美子)は、生徒の清(設楽幸嗣)が描く大仏の画をのぞきこみます。清の画に使われている絵具は黒と黄色がほとんどなので、靖子先生はもっとたくさんのクレパスを使うようにアドバイスします。清の暗い画風は心の様子を映し出していました。
戦後しばらく、清は母、吉田マチ子(淡島千景)と二人でほそぼそと暮らしていました。生活費は隣の博古堂からの下請け仕事がたよりでした。博古堂は松本雪子(田中絹代)という女主人がひとりで切り盛りしている鎌倉彫の工房。雪子には清と同じくらいの年齢の養女、春子がいたので、彼女たちは家族ぐるみの付き合いです。父親、一郎(伊藤雄之助)が戦地であった中国からが復員したのはかなりの時間がたってからでした。
父親、一郎と初対面同様の清。なかなかなじめません。一郎は復帰した職場に不満で、イライラしています。それが手伝って清に優しくなれません。やがて妹の光子が生まれ、清の感じる疎外感はますます強くなります。
そんなおり、清が保護した幼いカラスの子を父から放り出されたことが原因で、清は家出。豪雨のなか清は戻ってきますが、隣の雪子の子になりたいと言いだし・・・。
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