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アイヌ文化を後世に 道東で個性豊かな伝承施設がつぎつぎオープン<デジタル発>

2024-07-27 | アイヌ民族関連

菊池圭祐 会員限定記事

北海道新聞2024年7月26日 10:00(7月26日 12:09更新)

アイヌ文様の刺しゅうに取り組む研修生(小川正成撮影)

 釧路管内で2024年春、アイヌ文化を後世に伝える施設が相次いでオープンした。釧路市阿寒湖温泉に開設された「阿寒アイヌクラフトセンター・ハリキキ」では地元工芸家らが工芸技術を研修生に指導。白糠町の「白糠アイヌミュージアム・ポコㇿ」では、復元した「チセ」(伝統家屋)や祭具、日用品などが展示され伝統的な生活を体感できる。新たにお目見えした道東のアイヌ文化伝承拠点を訪ねた。

■伝統文様の刺繍 黙々と

 6月中旬、釧路市阿寒湖温泉の真新しい工房で3人の若者が、針と糸を手に黙々と反物にアイヌ文様の刺しゅうをしていた。

 ここは、アイヌ文化や伝統工芸の継承拠点「阿寒アイヌクラフトセンター ハリキキ」。愛称のハリキキは「張り切る、頑張る」という意味のアイヌ語で、担い手育成を目的に、今年5月にオープンした。

■アイヌ文化の担い手育成

 この日、3人の研修生が手がけていたのは「オホ(チェーンステッチ)」という刺しゅうの技法で、トゲのような形をしたアイヌ文様「キラウ(角(つの))」の手縫い。アイヌ民族の布の装身具「テクンペ(手甲)」などを制作していた。

 「技術や伝統をしっかり学びたい」。研修生の1人、大和田秋之助さん(23)=釧路市出身、オホーツク管内津別町在住=は、祖父が阿寒湖アイヌコタンで工芸品店を営んでおり、自身も将来の開業を目標としている。

■総事業費は3億9千万円

 同センターは、釧路市が釧路開建の旧阿寒湖温泉除雪ステーションを改築、整備して開設。総事業費は約3億9千万円で、このうち2億5千万円は国のアイヌ政策推進交付金を活用した。

 建物内には「織物室」や「木彫室」などの工房が並び、部屋の一部はガラス張りで、観光客らが作業の様子を見学できる。釧路市は「研修の様子を見て関心を持ってもらい、さらなる担い手確保につなげたい」と狙いを語る。

■木彫りやムックリ作り、歴史も学ぶ

 研修生は阿寒湖アイヌコタン在住の工芸家ら専任講師から2年間の指導を受ける。休日も含めて週5日、午前と午後に分かれて刺しゅうや木彫り、楽器のムックリ(口琴)作りのほか、アイヌ語や歴史などを学ぶ座学もある。

 阿寒湖アイヌコタンでは、刀の柄などを精密に彫る地域独特の伝統が残っており、技術の継承には時間がかかる。講師の美術家澤井和彦さん(60)は「阿寒の伝統を受け継ぐ人が多く生まれれば」と期待を寄せる。

■深刻な後継者不足

 同センターを運営するのは一般社団法人阿寒アイヌコンサルン。アイヌ文化を知的財産として保護したり、工芸家のプロモーションなどにも取り組んでいる。

 同法人によると、阿寒湖アイヌコタンには約120人が暮らしているものの、若者の多くが高校進学とともに地元を離れ、ほとんどが戻らない。そのため、アイヌ工芸の担い手の高齢化は進み、後継者不足が深刻になっているという。

 元漁師で阿寒湖温泉出身の研修生、平澤隆太郎さん(29)は「コタンの年配者がいなくなったら文化の担い手がいなくなる。阿寒のアイヌ文化を引き継ぎたいとの思いがある」と語る。

■道東のアイヌ文化の拠点に

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https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1041718/

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