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社説:京大の琉球遺骨 学問の誠意が問われる

2019-03-23 | ウチナー・沖縄
京都新聞 2019年03月22日 11時52分
 沖縄県今帰仁(なきじん)村に伝わる地元の有力首長の墓から90年前に学術研究の名目で持ち出された琉球人の遺骨を返すよう、子孫らが京都大を訴えている。
 沖縄で先祖の遺骨は信仰の対象である。それが墓にないため、憲法が保障する信仰や宗教の自由が侵害された、と原告は主張している。
 京大は裁判で遺骨の保管を認めたが、「(当時は)違法でなかった」と争う姿勢を見せている。
 重要な学術研究とはいえ、それが遺族らに遺骨を返さなくていいという理由にはなるまい。京大のかたくなな姿勢は残念だ。
 京都地裁に訴えた首長の子孫らによると、1929年に当時の京都帝国大助教授が首長を葬った「百按司(ももじゃな)墓」から26体の遺骨を持ち出し、現在も研究材料として保管しているという。
 子孫らは遺骨が持ち出されていたことを知らずに長年、祭祀(さいし)を継承してきた。「むなしい」という訴えは悲痛である。
 裁判を起こされる前に、返還に動くのが道理ではなかったか。
 同様の訴訟としては、北海道でアイヌ民族が北海道大を相手に起こしている事例がある。
 人骨の研究は戦前、京大や北大を中心に盛んに行われていた。「民族の系統」の研究が名目で、沖縄やアイヌ民族の墓から骨を持ち出していた。
 こうした研究は、日本が大陸や南方に領土拡大を目指す中で行われた。学問が国策のために利用されたが、学問自体も国策に乗じた権威主義的な姿勢が強かった。
 墓から遺骨を持ち去るなどという行為はその典型といえる。
 京大は、当時の沖縄県などの許可を得ており、合法的な取得だったと反論している。だが、当時の帝国大学の権威の前に、沖縄県側が抵抗できなかった可能性は十分にある。
 対等ではない関係の中で持ち去られた文化財などの返還を求める動きは、現在、世界的な潮流になっている。
 米国では先住民の遺骨を収集していた大学に対し、返還を義務づける制度が1990年に施行された。北大も一部返還を始めている。
 京大は訴えられるまで、子孫に対し遺骨の存否さえ回答しなかった。提訴を受け遺骨の存在を認めたが、遺骨が原告の先祖のものかを証明するよう求めている。京大の管理があいまいだったのに、あまりに冷淡な対応だ。
 遺骨は本来の場所に戻すのが筋だ。学問の誠意が問われている。
https://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20190322000071
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