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格差や差別、国の責任触れず アイヌ新法案閣議決定

2019-02-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/15 17:00
 〈解説〉政府が閣議決定したアイヌ新法案は、福祉政策が軸だったアイヌ政策が産業振興などを盛り込む総合的な民族政策に向かう転換点となる。新法案に盛り込まれる林産物の採取や交付金の使い道などについて、アイヌ民族主体の政策決定をどのように担保するのか、国会審議を注視したい。
 従来のアイヌ政策は、一般社会の中での格差是正を目的とした福祉政策が中心だった。一方、新法案はアイヌ民族を先住民族と初めて明記し、林産物の採取やサケの捕獲など、先住民族の水産、森林資源権に関わる特例措置に触れた。日本の民族政策の節目と言えるだろう。
 一方で、新法案は支援対象を決めるためのアイヌ民族の個人認定を行わず、大学進学の補助などアイヌ民族の関係団体が長年求めてきた生活・教育支援に正面から応えるものにはならなかった。アイヌ民族のための新しい法律が必要とされる歴史的経緯も新法案からは読み取れない。
 格差や差別につながった国の責任に言及しない曖昧さは「アイヌ民族にだけ利権を与えている」という新たな偏見を生む要因にもなりかねない。一つ一つの「なぜ」に法案審議を通して丁寧に答えることこそが、「国民の理解を深めるよう努める」とした新法案の国の責務そのものだろう。
 アイヌ民族の中には、歴史認識や権利保障の曖昧さに戸惑う人も少なくない。先住民族政策は国が過去の反省に立ち、アイヌ民族が主体となって進められることが大前提だ。
 福祉政策との違いを明確にするためにも、新法案が掲げるアイヌ民族の「自発的意思」をどう担保し、具体的に何がどのように変わるのか議論を深めてもらいたい。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/277075
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