先住民族関連ニュース

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今週の本棚・新刊:『「アイヌ風俗画」の研究』=新明英仁・著

2011-06-12 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2011年6月12日 東京朝刊

(中西出版・1万8000円)
 あれほど工芸に秀でていながら、アイヌは絵を描かなかった。すべてのものに霊魂があると信じた彼らは、描かれたものが悪霊となって祟(たた)ることを恐れた。だから今に伝わるアイヌたちの姿はすべて外来者である和人の画家によって描かれたものだ。多く生活の場面を伴うこれらの絵は「アイヌ風俗画」と呼ばれる。
 本書はまずもって現存する「アイヌ風俗画」の行き届いた図録であり、一巻にしてその全容に接することができる貴重な本である。それをもとに精緻な論考があって、絵の中に見えるものの意味を教えてくれる。
 この九名の画家たちがいなければこれらの光景は後世に伝わらなかった。死者の家を焼くという風習は知っていても、それを一幅の絵の中に見るのはまた別種の感動だ。(狄)
http://mainichi.jp/enta/book/news/20110612ddm015070022000c.html

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