くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

佐藤青南二作

2018-03-12 18:57:00 | ミステリ・サスペンス・ホラー
「オイディプスの檻 犯罪心理分析班」(富士見L文庫)。
 プロファイル研究者の科警研土岐田とコンビを組まされた新人警官の小春。
 土岐田のイケメンぶりにときめいたのもつかの間、ばったり障害らしい彼とコミュニケーションをとるのは至難の技で、聞き込みに行った先で包丁を持って追いかけられる羽目に!
 さらに、自分は「サイコパス」だと語る塚本とエイジがいるラボに誘われて、事件の渦中に叩き込まれ……。
 連続監禁殺害事件を扱った作品です。
 慌てふためく小春、常に額面どおりにしか受け取らないのに真相を見つけてしまう土岐田のコンビがおもしろい。
 
 「君を一人にしないための歌」(だいわ文庫)
 中学時代、コンクールの最中にスティックを飛ばしてしまい、顧問のあたまに当たって卒倒。そのまま演奏中止になった過去をもつ森尊。
 高校に入学して間もなく、七海という女生徒に一緒にバンドをやろうと誘われます。二度とドラムをやらないと決めていたのに、七海のしつこさに負けて承諾してしまいます。
 ベースは同じ学年別の凜。圧倒的な音楽の知識があり、何かあるごとに教えてくれますが、普段は無口です。
 で、ギターは募集中です。
 「フランソワ」と名乗ってメンバーを探す七海に連絡をくれるのは、いずれも何かしらの問題を抱える人ばかり。
 それを解決してしまうと、結局メンバーは残らないのですけどね。
 お母さん世代の「ユウコちゃん」の悩み、「娘はなぜ離婚した夫について行ったのか」を探るエピソードが好きです。
 それから、ライフハウスのカリスマギタリストのリョウさんがかっこいいよ!

「今日も君は、約束の旅に出る」瀬那和章

2018-03-06 20:07:33 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 瀬那さんの本って、つい読んでしまいます。「今日も君は約束の旅に出る」(講談社)。
 これ、SFですよね?
 連作短編なんです。中心になるのは、女優を目指す国木アオと、12歳の夏休みをともに過ごした少年森久太郎。
 二人は別れの日にある約束をします。辛いことや悲しいことがあって、どうしても一人では耐えきれないときは、どこにいても駆けつける。 
 オーディションに落ちて、女優になるのは無理なのではないかと落ち込むアオ。
 そこに突然の地震が。
 収まったと思ったら、部屋に男がいるのです!

 久太郎は、「約束を破ることができない体」になったと語ります。 
 時には時間を遡ってまで、約束の場所にたどり着く。例えば、幼なじみが警官になった制服姿を笑いに。冬のデナリでクレバスに落ちそうになった友人を救いに。漬物名人のおばあちゃんの最高傑作を食べに。
 恋人同士になった二人ですが、やがてある事件が……。

 ラスト、ほっとします。応援したくなる二人の物語でした。

農業男子とマドモアゼル

2018-03-03 19:31:47 | YA・児童書
 タイトルと人物設定が美味に合わないような気がしないでもないですが、こういうタイプの話は好きです。楽しく読みました。
 甘沢林檎「農業男子とマドモアゼル イチゴと恋の実らせ方」(富士見L文庫)。
 農業系作品が好きだと気づいたので借りてきました。
 合コンで知り合ったイケメンの吉川(農業経営 26)との会話に怒りを簡単た恵里菜(30)。派遣契約者を終えて仕事もないことから、長野に移住することにします。
 農業を教えてくれる人を紹介してくれるというので待っていたところ、現れたのはなんと吉川で……。
 ぎこちないながらも、吉川と接するうちに彼に引かれていく恵里菜。
 若者女の子仁香へのやきもちや、吉川のおばあちゃんとのかかわり、ふるさと納税でのアイディアが親しみを増してくれて楽しかった。
 しかし、吉川、仁香に思わせ振りなことを言われた返しが「無理だろ」ですか……。なかなか言えないような気がしますが。
 何だか続編がありそうです。学生時代は研究者を目指していたのに、農業経営を始めたエピソードとか知りたいなあ。