くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「陽だまりの彼女」越谷オサム

2013-08-26 23:12:33 | 文芸・エンターテイメント
 ……オチが気に入らない……。
 わたしは心が狭いのでしょうね。映画化もされるというこの話、エンディング直前までは本当によくて、両親がオペラを見に行くというくだりは泣きそうになりながら読んだのに。
 いやいや、わかってます。このラストこそがいいんだと感じる人が大多数を占めるであろうことは。でも、要するに、それって「化○」ってこと、ですよね。浩介はこのまま一生、陽だまりの部屋で縞に茶目の猫と暮らすんですよね。
 両親のもとにいる猫は、縁もゆかりもない子なんですか? それに、マンション三階から落ちればいくらなんでも平静ではいられませんよ。バランスを取って着地できるのはそこそこの高さだけですって。あー、このとき浩介が壊した隣家との間の間仕切り板はそのままですよね。そんな命の恩人なのは変わらないはずなのに、平岩さん一家は228ページで冷たくありませんか?
 わたしが読んだのは単行本版です。越谷オサム「陽だまりの彼女」(新潮社)。
 「僕」こと奥田浩介は、打ち合わせの席で中学時代の同級生渡来真緒に再会します。真緒は当時ものすごく勉強ができなくていじめられていました。余りの仕打ちに腹を立てた浩介でしたが、今度は突然キレる奴だと思われて遠巻きにされます。
 やがて恋人同士になった二人ですが、真緒の家に挨拶にいくとお父さんからもう少し考えてからでもいいのではないかと言われるんです。
 反対されたと感じる浩介に、なんと真緒が駆け落ち
 を提案?!
 まあ、半分くらいは高いテンションの「バカップル」を見せつけられるような気持ちだったんすが、途中でふっと思ったんですよね。あぁ、これは真緒、どこかに行ってしまうんだな。
 そうすると、これは、もしかして「竹取物語」が下敷き? と勝手に思ったんです。求婚譚もあるし。
 でも、そうではなかった。
 いや、わたしの気にしすぎなんでしょう。


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