くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「本日は大安なり」辻村深月

2012-04-28 14:39:46 | 文芸・エンターテイメント
 久しぶりに辻村さんの本を読みました。やっぱりエキセントリックな女の子の嫌な感じが上手いなあ。双子の姉妹鞠香と妃美佳とか嫌な客の代名詞みたいな大崎玲奈とか。ああ、もうかなりいい年なのに、なんだかまだ思春期のような鈴木陸雄もかなり痛い。
 辻村深月「本日は大安なり」(角川書店)です。気になっていたんですよ。でも、ドラマ化したためかなかなか本棚にない。
 巻末の情報を見てわかったのは、結婚式場に関する連作を時系列に並べ直したということですね。もともとは短編シリーズだったものが、長編に組み直されにます。
 それがうまく機能していると思います。多分短編の一つ一つは緊迫感もあってそれだけ読んでもおもしろいのでしょうが、組み直したことでモザイクみたいな多面体になっているというか。それぞれのサプライズが相互的な効果を生んでいる感じがします。
 様々な人間像が集結して、日常とは違う空間にいる結婚式場のイメージがよく出ています。
 真空の不安や、双子の姉妹がお互いを必ず見分けてほしいと願う交錯した感情は、それなりに先が読めるといえば読めるのですが、長編の一場面としておもしろいと思いました。 
 バンドリーダーの伸がいいですね。
 しかし、ろくでなしのあの人物にもハッピーエンドを用意しているあたり、辻村さんは優しいですね。
 マリアベールに興味がわきました。今後、結婚式の場面をチェックしようと思います。
 わたし自身の挙式は、家から三百メートルの式場だったのですが、そのときのことをなんとなく思い出しながら読みました。ティアラをしたかったな。十余年経った今でもそう思うことはありますね。カメラマンさんが凝り性で、なんか写真を撮る時間がやたらと長かったような印象があります。 


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