くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「シマイチ古道具商」蓮見恭子

2018-11-25 22:27:20 | YA・児童書
 大阪府堺市が舞台の「シマイチ古道具商 春夏冬(あきない)人情ものがたり」(新潮文庫NEX)を読みました。 NEXやポプラ文庫、オレンジ、タイガといったレーベルを紹介するコーナーを作ったので、そういうジャンルを意識して読んでいました。
 読みはじめてから、堺が舞台(作者の蓮見さんも堺市出身)だと知り、わたしの中のミーハー魂がちょっと揺れました。
 わたし、熱烈な新日鐵バレー部のファンだったのです! かつて一度だけ大阪に行ったことがあり、そのとき練習を見に行くつもりだったのに、君津合宿中で残念でした。今思えば場所だけでも見に行けばよかったですよね……。(大商大に行ってみました)
 冒頭に「大和川」とあって、ひゃーっと興奮するのは我なから変だと思うのですが……。

 高校時代の恩師島田壮市と結婚した透子。しかし、数年前に仕事に行き詰まったため、二人の子どもを連れて彼の実家に入ることに。
 透子自身は両親を早くに亡くしており、母の思い出を強く抱いています。
 実家は古物商をしており、父の市蔵が茶道具などを扱っています。
 お茶の先生雪野や、壮市の同級生の猪股や橋爪が店を訪ねてくることも多く、子どもたちも土地になじんでいきます。
 ちょっと長女の爽子が幼いかな? (六年生の割にはシールに固執してたり……)と思わないでもないですが。
 親戚筋にあたる画家の島田華園の作品や、襖の下張りにされている古文書、想いをつなぐ茶道具、破片を継ぐ皿などが、人情ドラマと絡めて描かれます。
 透子自身の父への感情や、夫とのわだかまりが、様々な出来事の中で解消されていきます。
 市蔵さんの粋な佇まいが素敵です。 

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