くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「キケン」有川浩

2010-07-20 20:49:43 | 文芸・エンターテイメント
県大会間近で毎日6時まで部活してそのあとお祭りにむけて地域のお囃子練習に子供を連れていって、という生活を繰り返していました。で、お祭り当日が県大会って、笑えません。わたしにどうしろと。
でも、忙しくても本は読みます。書くことより優先して読んでいるため、更新が遅いかも。
この忙しいさなかにいるのがいいということなのかもしれませんね。楽しいのは仲間たちと活動している最中のこと、卒業したらその場所を次の世代に明け渡さなければならない。そんな一抹の寂しさから、なかなか学祭を訪れることができなかった元山くんが、奥さんに語る懐古録。有川浩「キケン」(新潮社)です。
結構表紙カバーが楽しそうで、出たときから読んでみたかったのですが、なかなか図書館に戻ってこなかった。まあ、やっと読めました。
男子の文化部って、こういう感じなのですかね。
自分も学生時代の友達との日々は非常に楽しかったので、この連帯感とか高揚感とかよくわかります。学祭も、模擬店はやったことないのですが(検便とかあって面倒くさいでしょ)、みんなで何かを達成しようとする一体感がおもしろい。
だから、「三倍にしろ!」はものすごく楽しかったし、元山が学祭にこだわるのも頷けます。
でも、「副部長・大神宏明の悲劇」は。
これ、「悲劇」? 「振られた」って何度もいってるけど、そうなの? 元山の奥さんすら「カマトト」扱いしてますが、唯子にとってこそ悲劇だったような気がしてなりません。そういう事件でただ別れる選択肢しかないのは、どうなの?
確かに唯子は誤解を受けるような行動をしたかも知れません。でも、実際襲われそうになったのだから、当人は恐怖ですよ。ハタチ過ぎているとかそういう問題じゃないから。そういう価値観の人もいると思います。
だから、こういう結果になってしまったことはひとまず仕方ないとしても、大神には二人の関係を修復する気持ちがなかったのだな、と残念な気がします。
それに、全体的に見て、大神の存在感は作者が思うほど大きくないような。キャラが立ってる上野と比べると、「大魔神」のイメージじゃない。他のエピソードと、第二話の印象が違うように感じます。もっと冷静でもいいような。
ま、要するに、わたしと有川さんとの性に関する捉え方が違うんでしょう。
ただ、元山の奥さんがお嬢様は「自分に都合のいい男を手練手管でモノにする」というのはやっぱりひっかかる。自分のものの見方に合わない唯子を評して「カマトト」といった半ページもたたないうちに、評価が反転していますよね。彼女の中では反駁しないテーゼなのかしら。
ラストの黒板の場面、感動しないわけではないのですが、うーん、十年経つのに母校の学祭に毎年現れる人というのは、珍しい(婉曲的表現)ような。しかも団体でしょ。さらに、毎年現れている集団がいるのに、ラーメン屋で当時の先輩と会えて光栄だと盛り上がるのは、矛盾してません? その代の人たち来てるでしょ。しかも「上野参上!」なんて書いてあって、そこに大神のツッコミがあるから、もう初日に来てるんだと思うのです。それとも彼らラーメン屋には顔出さないの?
元山がスープのレシピを完成させたからかと思ったら「その代のOB」としか言ってないし。
本人たちは非常に楽しそうなので、いいですけどね。あ、わたしは池谷が好きです。

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