くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「短歌の不思議」東直子

2015-09-10 05:08:13 | 詩歌
 選んでおいてなんですが、東直子さんの文章が苦手なのかもしれません……。これまでも何冊か読もうとしたのですよ。でも、「短歌があるじゃないか」(これは共著)も「千年ごはん」も挫折。今回も……ごめんなさい、紹介される短歌を拾い読みしました。「短歌の不思議」(ふらんす堂)。
 同じ主旨の穂村さんの「ぼくの短歌ノート」はすごくおもしろかったのに。
 わたくし、現代短歌について勉強しようかと思いまして。
 教科書って近代短歌中心で、ちょっと古いでしょ。茂吉にのぼせあがったわたしだとて、詩歌全集を一気には読めません。
 授業では便覧やアンソロジーから好きな歌を五つ選んで紹介(鑑賞文)する課題を出すのですが、現代短歌のストックはどうしても少ないのです。いや、近代短歌にも触れてほしいんですよ! でも、なんだか、ほかのジャンルに比べて、短歌って歌人にスポット当たってない感じがするんです。
 俵万智はよく知られていますが、あとは穂村さんとか……。
 でも、短歌って愛唱したい作品が多いと思うのです。

 短歌の授業について取り上げた研修に参加してみました。
「短歌を『楽しむ』という目標に達していない授業が多い」とのことで、講師のH先生がテーマにしたのは「女子大生短歌」。提示された七首から、大賞、次点、それから落選(二首)を選び、その理由をオープンカフェ形式で話し合う。
 紹介されたのは全て俵万智の短歌なんですが、こうやって並べられると、詠まれている男がずいぶんタイプの違う人たちだなーと思いました。
 「サラダ記念日」の男、花模様の服が好きな男、寿司屋で三百円のあなごずしを食べる男、待ち合わせで文庫本読んでいる男、ケチャップ好きな男。
 わたしが選んだのは文庫本の彼です。「文庫本読んで待っている背中見つけて少しくやしい」。
 同じ班にいた方お二人も同じ。「待ち合わせに自分の方が先に来たかったのにー!」と思いながらもまんざらじゃない感じがする。「自分のほうが余計に好きなんだよね。それがくやしい。でも、嬉しい」「文庫本読んでるくらいだから、彼女に待たされる時間が長いというか。そのくらい、前から来ている」「大体、花柄模様が好きな男に比べて知性的」というようなことを話したのですが、これを落選に選んだ人も多かった。
「文庫本読んでいて、目に入ってない」「彼女にくやしい思いをさせるなんて!」
 えーっ、「くやしい」って書いてあったって、そのままじゃないでしょうよ!  と思ったんですが、読み方はいろいろあるんだなと思いました。何にせよひっかかりのある歌です。
 帰ってきてこの本を読んだら、「会うまでの時間たっぷり浴びたくて各駅停車で新宿に行く」がとられていて、なんか奇遇だなと思って。(これもリストにありました)
 ただ、この本を読んで、俵万智の句でいいなと思った作品があります。
「『もし』という言葉のうつろ人生はあなたに一度わたしに一度」
 お互いに出会うのが遅すぎたということでしょうか。でも、やり直すことはできない。
 高校時代に周囲で爆発的に流行ったためか、わたしはどうも俵万智が苦手なんです。でも、この歌を紹介してもらえてよかったと思いました。
 

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