くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ポリス猫DCの事件簿」「猫島ハウスの騒動」

2011-03-21 15:46:07 | ミステリ・サスペンス・ホラー
あっ、若竹七海の新刊! と思って買った「猫島ハウスの騒動」(カッパノベルズ)をなかなか読まないうちに文庫になってしまい、さらには続編も出て、まずいなーと思っているうちに時が過ぎ去っていました。事情があって読まないわけにはいかなくなったので読んだのですが、どうも背景がよく見えない。
「ポリス猫DCの事件簿」(光文社)。神奈川県の葉崎という町にある猫島。干潮時は地続きになりますが、潮が満ちると船でしか行けません。百匹以上の猫と、三十人ほどの住人で成り立つこの島、夏の観光時期に集客することで財政を維持しているらしい。海水浴やら猫の愛玩やらで観光客が増えることでトラブルも急増。というわけで猫島夏期臨時派出所が設置され、そこに派遣された七瀬晃と、そのプレハブに居着いた猫DCが島のあれこれに関わるという筋立てです。
若竹さんといえば、連作ミステリ。「大道寺圭」(「死んでも直らない」)みたいなのを期待したんですが、冒頭の事件に決着はついたものの、なんとなく小粒な感じが。
ラストで一つにつながるんだろうと思ったんですが、ああいうアクロバティックなものは難しいんですかね。
若竹さんにしては結構ゴシック趣味な事件や、猟奇なものもあります。キャラクターは存在感があるし、納得もできる。でも、なんだかもの足りない。
多分、わたしは猫好きではないからでしょう。近くにいればかわいいと思うんですが、わざわざ猫島まで行って触れ合う気にはならないからなー。
で、「猫島ハウス」の方を読みはじめたのですが、意外とこちらを読んでみると、世界が近しく感じられるのです。七瀬も駒持さんも活躍しています。響子もアカネも、続編よりも存在感がある。成子さんとか神主さんとかゴン太も。なによりもツル子さんの料理がおいしそう。(反対に続の方がいい感じなのは森下哲也です)
修学旅行でガールフレンドの響子と気まずくなった虎鉄。ナンパした女と入江に近づいていくと、そこにはナイフを刺された猫のぬいぐるみが。
話を聞いた七瀬が聞きこみをする中で浮上したのは、覚醒剤取引と十八年前の三億円強奪事件。「ペルシャ」というキーワードに隠されているのは何か?
マリンバイク、スタンガン、ミズチの伝説、発見された死体。盛り沢山ですね。
現在物資が困窮しているためにツル子さんのお料理が眩しかったのですが、後半台風直撃で猫島神社に避難する様子は身につまされました。わたしは避難所には行ってないのですが……。
でも、なんか皆さん、そういう不自由な生活でもあっけらかんとしてるんですよね。こういう島にインフラが戻らないとかなり苦しいと思うんですが。

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