くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「箱根0区を駆ける者たち」佐藤俊

2019-06-15 11:01:45 | 芸術・芸能・スポーツ
 先日、農大まんががおもしろかったので、ここはやっぱり東海でしょ! と、この本を手に取りました。
 佐藤俊「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)。
 新年、青学の箱根駅伝連覇を阻んだ東海大学の、前年度四年生をモチーフに描かれています。
 メソッドとも言われる原監督のやり方とは異なる、両角監督の理念。そして、最後の箱根に賭ける四年生の思いを、十区間に分けて綴ってある。
 0区、というのは、エントリーされなかったメンバーがサポート役として活動することを示しています。
 有力視されながら故障に泣いた選手、マネージャーとして雑務を引き受ける人(女子マネさんまでいるのに驚きました)、給水、タイム計測、付添、声がけ、そして、当日選手として走ったメンバーのことも、紹介されています。 
 わたしはテレビ放送が開始した時期から、十数年箱根駅伝を視聴していました。東海も結構応援していたけど、両角監督の記憶がない……。
 検索したら、バレー部なら伊藤さんとか泉水さんと同学年なんですね。緒方さん一年のときの四年生かー、と思いました。
 東海大学のカラーというか雰囲気が、全体によく出ていて楽しく読みました。学部の名前は変わったのね。(体育学科→競技スポーツ学科のように。スポーツ・レジャーマネジメント学科ってのもある)
 出雲や全日本駅伝もかなり見ていたため、背景はよく分かりました。大会前にロードレースで一定の成果を出す必要があるとか、シード権とか。
 年齢を重ねてスタッフや保護者寄りの視点で読んでしまうところもありました。
 箱根目前の先行レースに出られなくなったことを報告に来て号泣する阿部くんのエピソードとか、スタッフとしてチームを支えていることを告げたときに両親からかけられた優しい言葉とか、両角監督の「教員」としての考えとか。
 今だけではなく、卒業したあとどういう選手になるのか踏まえた、「出口」を意識した指導にはうなずかされました。
 今は新年から駅伝を見ることもなくなったので、選手の名前を聞いても正直、顔が浮かびません。これが、応援している選手だったらもっと胸に迫ったかもしれませんが、そうでなくても充分おもしろい!
 両角監督が理想的な指導者とは言い切れないところが、またなんとも言えません。結構迷ったり、コーチとの擦り合わせをしてなくて選手が困惑したりしてる(笑)。

 読んでいる間に、東海のバレー部に持川さんの娘さんと、櫻田先生の息子さんがいることを知りました。やっぱり、親視点になるのは仕方ないのか。
 学生スポーツの魅力、わたしは、卒業後に競技を継続しない選手の存在って大きいと思うのです。こういうテーマの本、もっと知りたいな。

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