くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「あんじゅう」宮部みゆき

2013-01-27 06:41:48 | 時代小説
 二三日前には読み終わっていたんですが。
 どうも再読だと似たような感想になってしまうんですよね。先日、娘が生まれたときの読書日記を見つけて読み直したんですが、今同じ本を読んでも感想は変わらないであろうと。ちょうど「くらのかみ」と「過ぎる十五の春」の感想があって、びっくりするくらい同じことを言っている……。
 前回「あんじゅう」を読んだのは二年前。もうこの日記を始めております。被るところがあるかもしれません。
 ただ、わたしはそのあとに青野利一郎の過去を読んでいます。(「ばんば憑き」も読み返そうと思っています。ただ、図書館にいったら貸し出し中だった)
 かつて仕えた那須請林藩のことを語るとき、ふと苦渋が滲むのを感じました。宮部さんが「あんじゅう」を書くとき、もう青野の過去は出来上がっていたのだと感じました。
 前回読んだときと印象が変わった部分といえば、越後屋の清太郎さんがこちらではそんなに目立ってないと思ったことでしょうか。前は、清太郎さんと青野の若先生のどちらがおちかのお相手候補なのだなと思ってたんですが。あと、意外におちかが「よしすけ」という名前にこだわっていることに驚きました。
 そうですね、今回もっとも心ひかれたのは「疱瘡神の嫁」と呼ばれるお勝さん。もがさにかかって生き残ったことで、「縁起物」としての人生を送ることになった経歴を、なんとなく前回は受け入れられずにいたように思います。でも、お勝自身がその人生を全うしようとしている姿、いたずら坊主三人組にも優しい姿に、ほっとするといいますか。
 おしまさんの毅然としたところもすごい。若先生や行念坊をも恐れない三人組が、おしまさんを「鬼婆」なんて……。
 それから、くろすけがとろろをかぶってしまう場面が本当に可愛くて。人嫌いだった大先生が子供と関わっていこうとするところもそうなんですが、しんみりとした優しさとか情けとか、そういうものが伝わってきました。
 このところ、宮部さんの記事に触れることが多いような気がします。借りてきた「評伝ナンシー関」の冒頭、宮部さんのインタビューが。それによると、「テレビ消灯時間」の解説を書いたとある。その巻持ってますっ。というより、先日掃除したときに見つけて、読もうと思って出しておいたんです。読まなくては。「ボツコニアン」も借りたから、読まなくては。
 あ、「おそろし」とは出版元が違うんですね。同じシリーズでも。前者は角川でしたが、「あんじゅう」は中央公論です。


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