くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ヒトリシズカ」誉田哲也

2012-12-25 05:41:19 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 これも「一個人」の特集を見て読んでみた本。誉田哲也「ヒトリシズカ」(双葉社)。
 事件に関与しながらも逃亡を続ける中学生伊東静加。警察官の娘でありながら、暴力の気配のある場所に現れる彼女は、何を考えているのか。
 どうも映像化するようですね。中学生なのに大人の女にも見えてしまう、血縁を知りながらも野心のために手段を選ばない。しかし、最後に静加が選ぶのは、妹の幸せであるところに、彼女の孤独さが浮き上がる。「ヒトリシズカ」、確かにそうなのです。
 タイトルを考えるのに苦心したと誉田さんは言います。「死舞盃」の意味に気づいたとき、愕然としました。
 娘がいなくなり、伊東は旧知の間柄の探偵青木に捜査を依頼します。彼は静加の情報をネットにアップしますが、母親を探すチンピラがその写真を見てコンビニで働く女だと気づいしまう。偽名を使い、年齢をごまかし、都合の悪いことには犯罪も辞さない。青木は静加に陥れられます。一人称で書かれた最後の行「静加。やはり、生きていたのかー」
 これがうまい。そこでぷつんと途切れるのですよね、彼の人生は。
 クリスマスに読む本としてはどうかと思わないでもないですが、つい夢中で読んでしまいました。
  


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