くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「チョコレートと青い空」堀米薫

2013-05-17 22:20:57 | YA・児童書
 ガーナから農業を学ぶためにやってきたエリックさん。周二の家でしばらく一緒に住むことになります。周二と妹のゆりはすぐに仲良くなりますが、反抗期真っ盛りの兄はなかなか心を開こうとはしません。
 ガーナという国のことを、チョコレートの国だと思っていた周二は、エリックさんから子どもまでもがカカオを栽培するために働いていることや、輸出入が公平とはとても言えないことを知らされてショックを受けます。
 堀米薫「チョコレートと青い空」(そうえん社)です。このところ堀米さんの作品がおもしろくて続けて読んでいます。わたし自身が農家の生まれということも大きいのですが、農業を通して描かれる作品テーマがすっきりしていて読みやすいんですよね。すんなり寄り添うとでもいいましょうか。子どもに読ませたいと思うことが多いんです。読書感想文にも向いていると思うなぁ。
 作品の背後に浮かぶエリックさんの人生が気になります。自分にも反抗期はあったから、カズキの気持ちはわかる、と。勉強が好きで奨学金を得て大学を卒業したのだそうです。家族を大切にしている彼にも、大きな葛藤があったことでしょう。
 きっとカズキはやってくるといいながら、牛の世話をする場面が印象的でした。頼りになる大人がいないとき、きっと心細かったでしょうに。体調を崩すほど頑張ってしまうんですね。
 病院に残った兄と、エリックさんは何か話をしたのでしょうね。世界の広さを感じさせる心の広さも感じました。
 それにしても、中学の同級生ゆうちゃんはひどい。牛は臭いなんて、そこのうちの子どもに言ってはいけないよね。
 跡継ぎ問題については、「林業少年」にも出てきましたが、農家にとっては深刻なものです。エリックさんが感激した棚田(「テラス」といっていました)だって、作業が難しいから荒れてしまうところが増えてしまいます。
 同じ県内でも、わたしは角田にはほとんど行ったことがありません。去年の学校図書館研究大会、行けばよかったなー。


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