くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「誤読日記」斎藤美奈子

2011-04-17 05:23:08 | 書評・ブックガイド
やっぱり斎藤さんの書評がいちばん好き。どうも最近政治寄りなので、こういう造りの本をもっと出してほしい。「本の本」みたいに分厚いと読みにくいので、内容としてもこのへんが妥当ですよね。
斎藤美奈子「誤読日記」(朝日新聞社)。
いやいや全然、誤読なんかじゃないっすよ。まっとう。そして、抜群におもしろい。
「情熱と冷静の間」の装丁は銭湯ののれんみたいだとか、村上春樹のエッセイの照れ具合とか、距離感が絶妙です。(わたしはどっちも読んだことないんですが)
興味あるのは、良純さんが書いた「石原家の人びと」。シンタローの都知事再選にはタイムリーな話題です。でももう売ってないか。
TAKURO「胸懐」も読んでみたくなりました。中高生の副読本になりそうな正統派の青春ノンフィクションだと斎藤さんはおっしゃいます。かつて、GLAYにはまって本もあれこれと読んだので、斎藤さんが引用する部分は非常によくわかる。ただ、こういう流行ものは読みたいと思ってもなかなか入手しにくいですね。
筑摩書店が編集した「二十一世紀に希望を持つための読書案内」に対して、まっとうな意見にたじろいでしまうという意見がありました。高尚すぎるラインナップでは、「若者の読書離れ」を解決することはできないのではないか、と。
わかります。わたしも新聞の読書欄で、知識人の年間ベスト本など見るたびに、こういう本を紹介されても読まないよなあと思ってきました。同じように、もし自分が一冊だけ取り上げるように言われたら何をあげるのか考えてしまいます。
簡単な本ばかり読んでるんだろ、と思われるのが嫌で、見栄をはってしまうかも。
でも、わたしの読書傾向は、YAや教材の補足になるようなものが多いので、余り難解な本は読みません。
ああ、でも斎藤さんがこの書評で俎上に乗せている本を、自分がほとんど読んでいないことに気づきました。でも、読んだ気になるというか(笑)。
連載時に比べて、その後のエピソードがちょこちょこ補足されているのもおもしろい。本って、生物なんだな、と感じさせられます。
書評は好きなジャンルなのでよく読みますが、どの紹介文を読んでもおもしろいというのは稀有なことです。文体模写(モノマネ?)もあり、斎藤さんの「芸」が活かされています。
そう考えると「本の本」はあんまり活かされていないのではないか、と。買ってから本棚のいちばん端に入れてあるのに、なかなか読まない。「誤読日記」や「読者は踊る」「趣味は読書。」は二回三回と読んでいるのに。
文庫では後日談も増えているのでしょうね。そちらも読みたいものです。

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