くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「こちら郵政省特別配達課」小川一水

2018-02-12 13:24:25 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 買ったかどうかわからないのを探すよりも、借りた方が早かったので、読みました。小川一水「こちら、郵政省特別配達課」(新潮文庫NEX)。二冊一気読みです。
 郵政省特別配達課に配属された八橋鳳一。地元郵便局から東京に栄転のつもりで来たのに、日本全国を飛び回る体力仕事。
 トレーラーで一軒家を運び、出走馬をダービーに間に合わせるべく馬運車に乗る。班長の桜田美鳥はカウンタックを恐ろしい勢いで転がし、民間配送業のライバル出水とは時に競争する。
 なんといってもこの出走馬「リュウトウダービー」に受けてしまいました。
 最初は読み飛ばしていたんですよ。そしたら、美鳥が「名前が悪いんじゃないかしら」といったので。
 馬と美鳥のやりとりもおもしろい!
 一巻が様々な配送を受ける特別配達課の活躍を描いていたものが、二巻では存亡の危機をめぐっての対立が描かれます。
 中でも、彼らを潰そうとする灘と、京都の町で葉書を配送する競争がすごく楽しい!
 カーチェイスやら登山やら、専門的な内容も多く、わたしにはどちらかといえば興味のない分野なのですが、これは映像で見てみたいと思いました。鳳一役は斎藤工でどうでしょう!
 好きなキャラは番場さんです。登場時から一癖あっていいなーと思っていたんですが、冬山の救出劇の場面でしびれました。
 
 自分自身は、もしもG-LINE(高速道路を利用して敷設された郵便リニア配送システム) が実用化されたら賛成か反対かと考えましたが、自宅までの配送は配達員さんが行うのだから、余り生活としては変わらない気がします。
 結構友達と手紙のやりとりをしていたので、ポストを覗くのが楽しみでした。
 美鳥と鳳一が将来を確かめ合うラストもいいんですが、特別書き下ろし短編「暁のリエゾン」に、涙しました。
 東日本大震災直後の三陸は、わたしの生活のごく近くにあると感じたことが大きいと思います。