青木さんの本がもっと読みたくて借りてきました。集英社文庫「幸せ戦争」。
四件の家が建てられた一帯。その家族たちにスポットを当てる連作短編です。
元々の地主だったのは仁木家の妻多佳美。夫陽一が描く小説のためにと、土地を売って家を新築します。多佳美は、高校時代から陽一に憧れ、彼のためなら何でもできると思っているお嬢さま。
陽一の幼なじみだった能生美和は、多佳美の気持ちを知って二人をまとめた立役者。父の遺産を使って三階建ての家をつくります。彼女はゴシップ好きで策略家。隣家の娘が陽一に近づくように画策した結果、その家は出ていくことになります。
代わりに引っ越してきたのが、氷見家。美和の娘と同い年の麻衣花は、いつまでも少女のような母に閉口しているようで……。
もう一軒、周囲と関わらないようにしている高井戸家がありますが、そううまくはいきませんよね。
各家の誰かを視点にして、彼らの思惑を語っていきますが、それぞれが何かを抱えていて、うまくやっているつもりでも実のところ見透かされている面もある。
中でも、作家を目指しながら全く執筆をしない仁木陽一が、隠れ蓑として覆面作家の仁木亮之輔を利用しているあたりが姑息だよなあと思わされる。
幸せって、誰かと比べるものではないということが伝わってきます。象徴のように光るツリーの星が、実際には眩しすぎるのもうまい比喩ですね。
四件の家が建てられた一帯。その家族たちにスポットを当てる連作短編です。
元々の地主だったのは仁木家の妻多佳美。夫陽一が描く小説のためにと、土地を売って家を新築します。多佳美は、高校時代から陽一に憧れ、彼のためなら何でもできると思っているお嬢さま。
陽一の幼なじみだった能生美和は、多佳美の気持ちを知って二人をまとめた立役者。父の遺産を使って三階建ての家をつくります。彼女はゴシップ好きで策略家。隣家の娘が陽一に近づくように画策した結果、その家は出ていくことになります。
代わりに引っ越してきたのが、氷見家。美和の娘と同い年の麻衣花は、いつまでも少女のような母に閉口しているようで……。
もう一軒、周囲と関わらないようにしている高井戸家がありますが、そううまくはいきませんよね。
各家の誰かを視点にして、彼らの思惑を語っていきますが、それぞれが何かを抱えていて、うまくやっているつもりでも実のところ見透かされている面もある。
中でも、作家を目指しながら全く執筆をしない仁木陽一が、隠れ蓑として覆面作家の仁木亮之輔を利用しているあたりが姑息だよなあと思わされる。
幸せって、誰かと比べるものではないということが伝わってきます。象徴のように光るツリーの星が、実際には眩しすぎるのもうまい比喩ですね。