くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「白い月の丘で」濱野京子

2015-04-13 20:57:57 | YA・児童書
 この話が、いちばん好きかもしれません。濱野京子「白い月の丘で」(角川書店)。
 三部作の真ん中です。だから、ある程度展開の想像はついたのですが、主人公のマーリィとハジュンが非常に魅力的で、つい応援したくなるといいますか。
 砂丘に裸足でのぼり、笛と琴を合わせる姿がとてもいいです。もちろん文章だとどんな曲なのかはわからないのですが、なんとなく心に響いてくる感じ。「白光の月」という曲が繰り返し登場し、そのたびに物語に余韻を残します。美しい。

 平原の中央に位置するトール国。大国アインスに滅ぼされ、王子だったハジュンは国を離れてシーハンで育ちます。
 彼が、幼なじみのマーリィを訪ねると、笛を習いに自分と同年代の男カリオルが来ている。
 マーリィに思いを寄せているこの男、実はアインスの王子なのです。
 さらに、ハジュンを擁してトール再建を目論む先王の側近ジョンシェとその一家や、カリオルではなくその弟を跡継ぎにしたいと考えている王弟など、入り組んだ人間関係なんですが、わかりやすい。
 ジョンシェの息子の妻リーファがかっこいい!
 メイリンを彷彿とさせる彼女、弓は射るし陣中での存在感も大きい。
「わたしの父は、義父の側近でアインスに抗して死んだの。そのことに責任を感じて、義父はわたしをジョンサンの嫁にした。わたしたち夫婦にとって、敵は一つ」
この台詞! 胸が熱くなります。
 彼女の甥ソンボも、圧倒的な存在感です。(でも、クリオが出てきたのにはびっくり。根っからの敵役ってことですか?)
 
 三部作、もう一度全部読み返したい!