くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「イーヨくんの結婚生活」大山淳子

2014-06-18 21:21:55 | 文芸・エンターテイメント
 とても寓話的な物語でした。大山淳子「イーヨくんの結婚生活」(講談社)。
 長男の太一郎がインフルエンザで急死。夏目家に婚約者を名乗る女がやってきます。太宰薫。妊娠中らしい。
 次男は高校教師、三男は医者、四男は「青い蝶」を追いかけて行方不明。五男の伊代太と結婚させてはどうか。兄弟たちの伯父志賀直弥は提案します。
 伊代太は、これまで何かを断ったことがありません。ハンサムだし頭もいい。言い寄る女の子たちも受け入れるので、常にブッキング状態。高校卒業資格を取らせて大学へと考えていた矢先、志賀の頼んだ湿布を買いに行って試験を欠席したほどです。姪っ子の宿題の絵日記も書いてあげるし、もちろんこの話も素直に受けます。
 だんだんと物語の背後が見えてきます。小さな偶然の積み重ねで命を失った母の小春。その死を受け入れられずに失踪した父銀之助。妹の子どもたちの面倒を見ると誓った志賀と妻波子。
 人物名が文豪パロディなのもおもしろかった。幼なじみは雅子です!(夏目雅子と雅子妃の名前をかけてあるみたい)
 彼女が海外の仕事で挫折を味わったところも、考えさせられました。
 わたし自身はイーヨくんみたいな人は苦手ですが、おもしろく読みました。