くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ギャングエイジ」川端裕人

2014-05-19 07:10:40 | 文芸・エンターテイメント
 先日、友人が入院したので、暇だろうからと本を差し入れました。
 その中で、彼女が最もおもしろかったというのが、これ。川端裕人「ギャングエイジ」(PHP)。表紙はスカイエマさんです。
 採用が決まっていた教師が辞退したために、急遽小学校に勤めることになった日野晃道。小学校の担任だった先生に憧れ、彼と同じように頑張ろうと誓いますが、授業中にたち歩いたり、勝手な行動をしたりする子どもたちに悪戦苦闘。しかも、その前年にも新採用の先生が辞めてしまったのだとか……。
 辞めた先生が学校ボランティアに入ったりまた採用って、あんまりないのでは? とも思うのですが、日野のひたむきさとか物語の勢いのよさで一気に読んでしまいます。
 ああ、そうそう、次々に行事がきて忙しいのですよ、学校って。
 子どもたちも個性的です。みんなで「スイミー」を暗唱したり学芸会から逃げ出したり。クラスのリーダー格の少年が目標を聞かれて「ギャングになりたい」と答える場面も印象的ですよね。
 一学期から始まって終業式までの一年間が描かれます。
 中でも衝撃的なのは、日野が憧れていた先生が、教育に失望して退職したことを知るところでした。先生、わたしより若いじゃないの! まだまだ現場で活躍できるであろうに、残念です。
 でも、そういう力を持った教師が、精神的に追い込まれていったことも、つらい。
 そんな中で再生していくものもある。大人たちも変化していく。
 今、若い教師が少なくなりました。迷ったときに助言してくれる年の近い教師も。ベテランは多いですが、最初から同じようにはできない。
 ふとしたところに、励ましになるような部分もありました。