くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「いつもが消えた日」西條奈加

2014-02-09 09:36:20 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 お蔦さんと望のシリーズ、二冊めです。この作品の雰囲気がすごく好きなので、おもしろく読みました。
 「いつもが消えた日」(東京創元社)というタイトルから、はじめは震災関連の本なのかと思ってしまいましたが。
 消えたのは、家族です。望の後輩、有斗の両親と姉が、忽然と姿を消してしまう。しかも、部屋には血が飛び散り、料理の途中らしくまな板の上に玉ねぎがのったまま。携帯は通じず、なぜそのようなことが起きたのか、全くわかりません。母親の姉からは、預かれないとにべもない返事。望の家で有斗の面倒をみることに。
 有斗はサッカー少年。望の友人の彰彦とのコンビで、全中でも一年生ながら活躍する技能があります。顧問の小野先生(オージン)は、有斗の才能に気づいて奨学金の申請に骨を折ってくれました。
 どうやら、彼の家には借金があるらしい。
 有斗の家族のことを探ろうとマスコミが接触してくるなか、どうみてもカタギじゃなさそうな男たちに追いかけられます。一体、有斗の家族に何があったのか。
 さらには、部屋の血痕を鑑定したところ、有斗の家族のものではないことがわかって……。
 今回は長編です。望のおいしそうな手料理は、もちろん登場します。中でも、ローストビーフやたまごを挟んだサンドイッチを食べたい! あとは、鍋焼きうどんもいいなあ。カボチャの鶏そぼろあんかけ、出し巻き卵、蓮根の酢漬け、ねぎの焼き味噌和え、すき焼き! バーニャカウダ、キノコと明太子のクリームパスタ(明太子に火を通しすぎないのがコツのようです)、卵餃子(餃子の皮を薄焼き卵で作って、あんかけ)、カレー味の豚バラロースト、鶏唐揚げのチリソース、肉じゃが風味のコロッケ……。こんな料理上手な高校生、頼もしいです。
 わたしとしては、今回は台詞にしか登場しなかった彰彦の兄がなかなか気に入っております。