くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「蟲師」漆原友紀

2013-10-23 21:03:38 | コミック
 読み終わっちゃったよーぅ。すごく残念です。もっともっと読みたいのに。
 漆原友紀「蟲師」(アフタヌーンコミックス)。全十巻。
 宮部みゆきや加門七海が強くお薦めしていたので読んでみたかったのですが、結構売ってなくて古本屋で立ち読みしたけど、なんだかぴんとこない感じがしてやめたのです。
 この夏、なんと二冊百円で売っていたので買ったのですが、それもすっかり忘れて、トランクに入れたままでした。
 秋口に取り出して読んでみたら、これがすごいおもしろいじゃないですか。物語構成も、雰囲気もとにかく好み。こういう物語を、自分も書きたかった、というほどの作品です。
 ひとつひとつの作品が素晴らしくて、大体一日に二本くらいしか読めません。密度が濃いのです。
 でも、全部、読んでしまいました……。内容をある程度忘れるまでしまっておくべきでしょうか。
 そうですね……木と同化してしまう男の話とか、山の主になった男とか、そういう話が印象に残っています。(こう書いて気づいたのですが、わたしは「変身・変化」ものが好きなんですね)
 古き時代の文化や風俗、時折作者のおばあさんから聞いた話がおまけで描かれるんですが、なんだか、やっぱり現代と過去はつながっているのだな、と思わされます。でも、その気配は急速に失われているというか。
 物語の狂言まわしともいえるギンコの目を通して、わたしたちは普段は見ることのできない蟲の世界を垣間見ます。世の中の「障り」は、蟲がもたらしていることが多い。その中には生と死が絡められることもあり、蟲に憑かれた女が子どもを生むこともある。
 ある花によって、一日の命を幾度も繰り返していく娘の話も忘れられません。彼女の目に映る光景は、もはやわたしたちのものとは違うのです。
 影踏みで実体化する話も、とてもよかった。(なんかタイトル覚えていないんですね)
 酒づくりの話、鏡磨きの話、ギンコの過去、書き留め留ために生まれてきた娘などなど、世界観に圧倒されます。
 アニメもよかったと聞くのですが、借りられるんですかね。(TSUTAYAの会員でもないですけど)