くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「さよなら、ベイビー」里見蘭

2013-08-10 06:26:05 | ミステリ・サスペンス・ホラー
 仙台駅の書店で、研修帰りに買いました。里見蘭「さよなら、ベイビー」(新潮文庫)。
 男性だったのですね、ペンネームから女性と思っていました。新幹線の中で読んで、このギミックにびっくり。エマさんの表紙に釣られたのですが、予想以上のおもしろさ。
 物語は「僕」が「タカヤ」という赤ん坊の世話をすることになって七転八倒するパートと、「佐藤詩緒」「緒方美佐」という女の妊娠に関わるパートに分かれています。相互に関係しあいながら、事態は予想外の方向に……。
 静岡にきております。登呂遺跡に行ってきましたよ。息子はクイズにはまって何度も何度もやっていました。娘は貫頭衣がすっかり気に入り、自分でも一着ほしいようです。高床式倉庫の復元があって、ねずみ返しがついていました。ミニはにわを売っていました。
 そのあと科学館に行ったんですけど、わたしはやっぱりだまし絵系のものが好きなんですね。錯覚や思い込みを利用したもの。(さかさ眼鏡というのもやりましたが、これは駄目でした……)
 だから、この作品にしかけられた構成は、かなり好みです。読み返してみると、文章もダブルミーニングのものがあって、なるほどなるほどとうなずいてしまいます。
 また、泣き叫ぶタカヤに閉口して、無視を決め込もうとしていた「僕」がどんどん変化していくのもおもしろかった。
 実はこの人、ひきこもりなんです。四年前にお母さんが亡くなったとき自殺未遂をして、そのために記憶をなくしている部分があります。お父さんが献身的に面倒をみてくれたのですが、身元不明の赤ん坊を残して突然死。関わりを余儀なくされるのです。
 ファミリーレストランでオムツ換えするとか、パニック状況でもそれはどうなのかと思わないでもないですが、赤ちゃんの様子がよく観察されていて、読ませます。北上次郎さんの解説にも笑ってしまいました。
 ところで、わたしがこの本を読み切るまでに息子は「ぼくら」シリーズを二冊、ケロッと読んでしまったのですが、そのくらいのボリュームなんですかね。わたし自身は結局読んでないので、よくわからない……。
 静岡にきたのは十五年ぶりなんですが、あのとき気になった「茶ップリン」が売っていました! コンビニでお茶割りのチューハイが売っているのも驚き。
 「神奈川沖浪裏」のデザインされたチップスターを購入しました。パッケージとっておきたい。