くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ラブオールプレー 夢をつなぐ風になれ」小瀬木麻美

2013-06-05 04:54:06 | YA・児童書
 おぉっ、続編がっ、いつの間にっ。
 本屋さんでポプラ文庫のフェアをやっていて、ちょっと見て通り過ぎようとしたら、裏側にも続きがあって、そこにあったんですよ。「ラブオールプレー」の三冊め「夢をつなぐ風になれ」。
 今回の主人公は、横川くんです。やったぁ! ダブルスのゲームメイクや、チームを支える存在感がとても好きなのです。前回報告しかなくて、「説明ではなく描写で読みたい」と思っていた梓とのなれそめもあって、おもしろく読みました。
 そんなわけで、印象的だったのは沖縄のインターハイで再会する場面。思わず泣き出した梓に、先輩がずっと会いたがっていたのだと説明してくれて胸が熱くなる横川。ケータイの待ち受けまで変えられているのが鋭い。
 あとは岬省吾がダブルスについて相談にのってくれと言いにくるあたりも好きです。
 横川は中学時代に故郷を離れ、海老原先生の家に下宿することになります。幼なじみの梓とも離れ離れになり、先が見えない不安に駆られる。
 そんなときに見学にやってきたのは、全中でも優勝を果たした遊佐賢人。二人コートに入ったとき、「運命」は走り始めたように思います。
 二人と対戦したときには「絶望した」と語るツインズの気持ちもわかるな。
 学生としての大会を勝ち進むうちに、遊佐はある決意をします。その潔さが、故障を乗り越えてきた彼の思いと重なってじーんとしました。
 わたしはバドミントン部顧問だったこともあるので、試合の様子が浮かんでくるあたりが好きなんです。小瀬木さん、バドミントンの経験がなかったとあとがきに書いていらしてびっくり。丹念に相手のプレーの綻びをついていくところとか、実戦していた人なんだと思っていました。
 たとえばネットにシャトルをかけてしまうこと。技術的にうまくても肝心の場面でやってしまう選手は中高生あたりには多いはず。遊佐はネットぎりぎりのヘアピンショットとか、コートの隅ぎりぎりとか、非常にコントロールがよくて感心します。
 並行して描かれる水嶋の成長ぶりもいいですよね。この分だとリオのオリンピックメンバーは横浜湊出身選手が主力になるかも!
 オリンピックといえば、ロンドン五輪の女子ダブルス銀メダルに触れてありましたが、彼女たちの担任として「新体操ボーイズ」の先生がインタビューに答えていましたね。
 ダブルスの魅力は二人の呼吸とフォーメーションだと思っています。横川と遊佐のコンビがこれからも活躍する姿を見たいな。「よこ・ゆ」と呼ばれたりするんでしょうか(笑)