くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「男よりテレビ、 女よりテレビ」小倉千加子

2012-06-20 05:40:22 | 産業
 テレビ批評です。 
 小倉千加子「男よりテレビ、女よりテレビ」(朝日新聞出版)。おもしろく読みました。
 わたし自体はほとんどテレビを見ないのですが、レビューは好きなんですよね。ナンシー関「テレビ消灯時間」とかカトリーヌあやこ「すちゃらかTV!」とか。
 何故でしょうね。朝のニュースと子供の見る番組を横から眺めるくらいにもかかわらず、小倉さんの語りに引き込まれて、あたかも視聴したことがあるかのように感じる場面もありました。
 小倉さんの俎上に挙げられる番組はいろいろあるんですが、結構政治の話題が多い。小泉さんが高級な麻のシャツを着ていたとか、橋下徹が知事戦で勝ったとか。「クローズアップ現代」や阿部寛の話題も多いけど。
 あぁ、大河ドラマの話もありましたよ。「風林火山」では躑躅ヶ崎城の表記が「髑髏」に見えてしまう。山本勘助が信玄を天下人にすると宣言するけど、史実を知っているのでかなわないことは明白だから。このドラマで由布姫に思いを寄せている姿が話題になったせいか、次の「篤姫」での設定はちょっとやりすぎの面が多いのではないかと苦言を呈します。
 まず、侍女も連れずに廊下を歩き回る。西郷隆盛と友達だったという脚色。幼なじみとの恋。
 あと三谷幸喜は嫌いみたいです。大阪と東京の番組を比較する話や梅宮一家を考察する話もありましたよ。
 わたしが気になったのは、イチローが茂木健一郎に失礼なことをいわれるけど逆襲する話題。足裏マッサージ器と枕を見せたら、「おじいさんみたいですね」といったんだって。
 「本気で笑ってない」と次の放送のときにイチローは言ったそうです。
 それから、かとうかずこがそのまんま東について語ったという「いつも君が洗濯機の蓋を開けっぱなしにしている理由が分かったよ」という台詞も、なんだか忘れられません。
 小倉千加子といえば、ジェンダーフリー。そういう思想も文章の背後に見えてくるのがたのしかった。
 続編はないんですかね。こういうのもっと読みたい。観察眼の鋭さ、さすがです。