くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「ヤンキー最終戦争」義家弘介 その1

2011-10-28 05:34:41 | 社会科学・教育
なんていうか、この方はとてつもない自信をお持ちなんでしょうね。日教組は「偏向」しているから「ぶっつぶす」といってますが、アナタも充分偏向しておられますって。
わたしがもともとこの人を好きではないこともあるでしょう。イデオロギーどうこう言っていますが、一部から全部を語るには無理がある。ずーっと頭からとばさずに読んだんですが、どうして日教組が諸悪の根源だと思っているのか、彼らが力を失えば正常な教育活動が戻るという根拠がどこにあるのかがよくわかりませんでした。
だって、極論をいえば4時45分になったからといって帰っちゃう先生には、生徒と向き合うような気概がない、勤務時間の優先に努める日教組がよくないからだということなんでしょう? でも、そんな時間に帰っていく同僚、わたしは見たことがないんですが。
組合員が特定の政党の支持をしているのに罰則がないためにやり放題だともあったけど、そんな人もいません。わたし自身も組合員ですが、だからといって選挙戦にかりだされたこともないですし、全国には様々な組合がそれぞれの組織力をもって存在しているわけです。教師にもいろんな人がいます。理想の教師は生徒一人ひとり違うはずなんですが、義家氏はそれをよしとしない。わたしの偏見かもしれませんが、自分のことが大好きなんだろうということはよくわかります。
まずは勤務校を去ることになった理由について、自分一人で突っ走るために生徒がみんな「義家先生がいい」と言い出すようでは困ると諌められる場面があります。
あの、これを額面通りに受け止める人なんだと思います。たいがい、誰かを説得する際には、相手を傷つけないように考えて話しますよね。(こういうことをわざわざ書くのは、形を変えた自慢話だからともいえます)
プロフィールから考えると、彼が在職したのは六年という短期間。その間にマスコミに取り上げられる、講演だの連載だの頼まれるというブームがあったのでしょう。シンボルでもあった教師が退職するのを、この高校は慰留しなかったのですよね。
ちなみに、国会議員になってからも、日教組への攻撃をトーンダウンしてくれないかといってくる議員がいたといって憤ってます。
いろいろと疑問はあるのですが、まずは調査書について。実際にやってもいない役職を書いてきたり、少年院にいた事実を書いてこなかったりと「文書偽造」だと言っていますが。
その後、塾講師だったときに各校の教師の作った「過去問」を配って高得点を取らせていたエピソードが語られます。パソコンの普及で問題づくりに手を抜く教師が増えたからだと臆面もなく言っていますが、これは「盗作」とか「著作権侵害」とかじゃないの? 残念ながら広く行われていることですが、基本的にそれは「学習指導」じゃないよね。
それから、教師からもう教室には来なくていいと言われていたので、授業中は仲間と体育館でバスケットをしていたと語る生徒が、自分の目からみたらしごくまっとうな子なのに……と語る一方で、イジメをするような生徒は学校への出入りを禁止するように断固としていうべきだと言ったりもする。
いや、彼がイジメをしていたとはどこにも書いていませんよ。でも、「まっとう」な子は教室に入れないからといって、その時間につるんでバスケットはしません。
さらに、不良と呼ばれる生徒にわざと近づいて媚びを売る教師は、他の人に「すごい」と言われたいからだというようなことも言っている。でも、高校教師時代、そういう生徒と接触を持たかったわけではないですよね。むしろ関わった方なんでしょう? 自分は「媚び」ではないからいいの? 信頼関係を築いてしっかり指導される先生方を見てきた身としては、この言い草に腹が立ちます。
そんなに自慢?