くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「あまから人生相談」マツコ・デラックス

2011-10-15 04:26:12 | 哲学・人生相談
意外と正統派です、マツコ。しかし、自分よりも年下と知って驚きました。冷静に考えると、この人は性別的には男性なんですがね、回答を読むと、たいへん身近に感じる。匿名の回答者に設定しても、結構納得できると思います。自分も世の中も客観視できる人だと思いました。
マツコ・デラックス「あまから人生相談」(ぶんか社)。まさかこの方がブレイクするとは思っていなかったため、過去のメディアのちょっとしたところで取り上げられているのを見ると不思議な気がします。「だめんず・うぉーかー」でもドンペリを一気飲みする勇姿が描かれていましたよね。
その波にあやかっての出版ではないかなと、下司は考えてしまうのですが、レディコミの人生相談の回答者として採用するあたりなかなかすごい着眼です。
なんでも話せた友人が、ママになった友達だけの集まりで自分のことを面白おかしく吹聴していたと聞いてショックをうけた人には、「仲のいい友人で集まると、その中にいない誰かのことをちょっとネタに使うことって、アナタだって一度もしたことないかしら?」「A子さんがアナタを憎んでいるとか、バカにしているとか、そういうことになってしまう?」「学生時代から長く付き合ってきた友達にやゆ(字が出ません)されたくらいで、その友情まで断絶できるのなら、それはそもそも友達ではなかったように思うのよ」「信頼できる人なんていないと思ったらいないし、いると思ったらいる、そんなもんなのよ」
この相談、読売小町でも結構見かけますねー。ばかにされたら縁を切るという傾向が強いので、目から鱗でした。
全体的に、「心のもちよう」について語っているように思います。実はわたしも気にかかることがあってくよくよしていたのですが、様々な相談を読むうちにはっとさせられ、なんだか楽になりました。
しかし、世の中いろんな人がいますねー。貧乏だと友達にバカにされるからという息子に、一日千円もの小遣いを与えて自分は困窮しているお母さんには驚きました。一ヶ月三万円だよ!
それから、旦那さんの浮気に怯えて自分も不倫しちゃう人とか……。なかなかママ友ができないと悩んでいる人や、借金のある夫の保証人になっていたために返し続けないといけない人、逆パターンで夫の借金をきれいにしてやったのに、結婚後もさらに借金していたことがわかって激怒する人も。
ふと思ったのですが、ネットの人生相談とマツコさん、似たような相談に乗っていても着地は違う。何点かサンプルを集めて比較してみたら、ネットにおける現代的な考えをつかむことができるのでは。
マツコさんに限らずほかの人の考えもあれば加えてもいいでしょう。なんとなく、ネットの考え方は「やさしさ社会」(森真一)の検証にもなるように感じたのです。
人生相談は、相談に乗る人の考えが色濃く出るもの。「あまから」とはいいますが、まっとうなものの見方、相談者への気配りが心地よく、たいへんおもしろい本でした。