くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「story sallar 2」「こんな映画が」

2010-05-13 04:59:44 | 文芸・エンターテイメント
完読してはいないのですが、つまみ読みした本について書いておきます。
新潮文庫「story salellar 2」。近藤史恵の「レミング」目当てに読みました。
「エデン」はまだ手に取れずにいるのですが、赤城さんの物語が読みたくて。
石井さんの孤高ながらも茶目っ気があり、赤城さんをかなり頼りにしていることがわかる好短編。やっぱり、近藤さんはいいなー。
スピード感があって、人物像がはっきりしていて、短編小説としてもいい体裁だと思います。赤城さんの彼女がひょっこり顔を出しているのも可笑しい。
もう一作読んだのは、有川浩の「ヒトモドキ」です。
……これ、ラストに救いをもたせるのは、どうよ?
伯母の破天荒な生活と傍若無人さに腹を立てていることが、これでもかこれでもか、と畳み掛けるように出てくるのです。傍若無人、ごみ屋敷、ねちっこい甘ったるさ、パンの耳、人の話は聞かない、でも貯金は億単位。
リサイクルと称してごみを持ち帰り、居候している弟一家をパニックに陥れます。「ヒトモドキ」とは、人間としての常識が通用しない伯母に対して、姉弟がつけた蔑称です。
有川さん、わざと名前を出さない短編を何作か書いていますが、わたしはどうも好みじゃないです。躍動感がない。沈んだ感じ(怒った感じ?)がする。
縁を切ったつもりだったのに、結婚式にホームレスみたいな姿で現れたり、伯母の葬儀のことを思い出して革製品を捨てたりと、かなり生理的に納得のいく構成だったのですが、ラストがこうなのは、なんだか……えせヒューマニズムのようなものを感じてしまう。
あと、東京で何の仕事をしているのか、ちょこっとにおわせていますが、結局明らかにしていない。(やっぱり小説家?)
「1」に収録されていた「ストーリーセラー」は本当にげんなりしたので、こちらの方がおもしろく読めましたが……。


吉野朔美「こんな映画が」(河出文庫)。
吉野さんのまんがが好きで、本の雑誌連載の書評も大好きなので読んでみました。でも、やっぱりわたしは、映像文化にこれっぽっちも興味のない人間なのだと判明。
一本一本、読むとすごーくおもしろそうなのですが、全部は読み通せませんでした……。
「りんご」と「運動靴と赤い金魚」は、気になる。
吉野さんのまんがで読むなら、楽しく読めたかも。で、本のことなら多分文章でも全部読んだと思います……。