くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「失恋延長戦」山本幸久

2010-05-11 05:24:57 | 文芸・エンターテイメント
このラストはないでしょう!
犬好きとして、苦言を呈したくなります。あざとい。それまでが連作としてよかったので、かえって激昂。朝、ぎりぎりまでかけて読んだのに! これなら前の章で切ってくれた方がずっといい。どちらも書き下ろしということですが……。
山本幸久「失恋延長戦」(光文社)。装丁が結構よくて、発売時に買おうかとも思ったのですが、どうも手元にあると安心してしまい、さっぱり手をつけないので借りることに。
主人公真弓子は放送部に所属する高校生。同級生の大河内くんに片思いしているのですが、なかなかうまくいきません。真弓子を敵対視する藤枝美咲。真弓子の愛犬ベンジャミン。
ふとしたことから、地方ラジオのアシスタントを務めることになったり、元オリンパス候補選手の岸と知り合ったり、いろいろあるのですが、高三の文化祭で、大河内くんに葛岡るいというかわいい彼女ができてしまい……。
小学生のころからずっと学級委員に選ばれている真弓子は、とにかくいろいろな人に頼りにされているのですが、どうも鈍感で。
しかもお人よしなので、葛岡に冷たくすることもできません。大河内くんに貸してもらったSFのあらすじと感想を教え続けることになります。
この物語は、好きな人に彼女ができても諦めきれず、しかもその彼にかつて自分に告白するつもりだったと言われてしまう、でも友達としては本当に気があうと思われているので、未練たらたらの女の子の話であるのですが、それに加えて、東京という街に憧れながらなじむことができずにいる二人(真弓子と藤枝)の話になっていると思います。
わたしにとって、ベンジャミンはそれほど重大な位置ではなかったと思うのですが。(わたしは犬らしい犬が好き)
どちらかというと、激怒部長とかドラッグ石井の方がインパクトあったなー。
でも、このエンディングはだめです。ここでとってつけたようなこの展開、「延長戦」は「失恋」部門だけでいいです。
という訳で、山本作品は当分借りて読むことになりそうです。