くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「京大少年」菅浩文

2009-12-28 05:37:01 | 芸術・芸能・スポーツ
うーん……。ちょっと期待外れかなあ。
前作の「京大芸人」がすごくおもしろかったので、続編「京大少年」(講談社)を買ったのですが、いまひとつという感をもちました。
エピソードが羅列になってしまい、切れ切れの印象が残るせいかと思うのですが、なんだか、「勉強」の部分を意図して組み込んでいることが裏目に出ている。
いや、勉強についてはおもしろいんですよ。でも、「芸人」はもっとのびのびと二人の青春群像が感じられたし、「宇治原」という個性を描くのに勉強は不可欠だというイメージがあったのに、今回は「芸人になるために京大に入った『京大芸人』ではなく、京大に入る頭脳を持った『京大少年』」というテーマに縛られすぎかな、と思って。
そんなに期待された宇治原少年を、芸人に誘ったということで、泊まるときに客用布団だったのが子供用布団を出されるなど彼の家族からの待遇が下落してしまいます。
菅さんは構成も文章も結構きっちりしているので、ウケを狙いすぎない方がいいんじゃないかなと思ったわけです。
なんとなく、芸能人の出す本って、「口述筆記」が多いように思うのです。でも、この本はそうじゃない。きちんと文章の書ける人なので、仕事のこととかほかの芸能関係者のことが盛り込まれている中、随所に二人の様子が感じられてすごくいいんです。
テレビ出演が決まったとき「出れる」と書いてしまっているのも、まあ、許せます。日常の言葉を選んでいる気がする。
この本は、厳密にいって「芸人」の続編ではありません。同じテーマで前作には書いていなかった部分を書いている感じがします。
宇治原の大人としての勉強方法は参考になると思いますよ。特に、「知識を人に伝えることで覚える」というのは非常に納得です。
菅さん、結構観察力あるし、構成も上手いから、エッセイ書いてはいかがでしょうね。おもしろそうな予感がします。
ところで、宇治原家の菅さんへの対応、今はどうなんでしょう。ちょっと気になります。